研究課題
補体異常活性化と妊娠高血圧症候群の病態との関連が注目されている。妊娠高血圧症候群の病態メカニズムの中心である母体の抗血管新生状態と、補体異常活性化の二つのメカニズムの関連を基礎的に検討し、抗血管新生状態と補体異常活性化を協調して制御する重要性を示すことを目的にしている。本年度は昨年度に続いて、血管内皮細胞障害における、血管新生系との補体系の関連の検討を行った。補体活性化経路には古典経路、レクチン経路、第二経路の 3 つの経路があり、30種以上もの促進及び制御蛋白から構成されている。近年開発されたC1s(補体の古典経路活性化の第 1 段階にある C1 複合体に含まれるセリンプロテアーゼ)ヒト化モノクローナル抗体は、補体の古典経路の上流プロセスを選択的に阻害する一方で、第二経路やレクチン経路の免疫監視機能は維持する。また、古典経路(C1s)以外にも、レクチン経路(MASP-2)、第二経路(factor B・factor D)など各々の経路の上流蛋白を選択的に阻害する薬剤の開発が相次ぎ、副作用に配慮した、疾患特異的な補体抑制治療の実現が期待されている。上記の現状を踏まえて、本年度は、妊娠高血圧症候群に特異的な補体経路活性メカニズム(特に各経路の上流プロセス)を明らかにすることとした。細胞(HepG2、EA.hy926)に、sFlt1, PlGF, VEGFを添加し、補体制御因子(CFB, CFH, CFI, CD55, CD59, CD46)の発現をRT-PCRで評価した。各補体制御因子の発現には一定の傾向は認めないが、細胞の種類や血管新生因子および抗血管新生因子を添加することで各々の発現に変化を認めることが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件)
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