研究実績の概要 |
(1)血中循環腫瘍DNA(ctDNA)解析を用いた卵巣癌化学療法前後におけるモニタリングと“癌クローン進化”の証明:卵巣癌3・4期症例において, 術前化学療法(NAC)施行例でNAC前後のctDNAプロファイル変化を解析した. NAC感受性群ではctDNAのTP53変異アレル頻度が低下した一方,NAC抵抗性群ではTP53変異アレル頻度が上昇し,NAC後に新たなpathogenicTP53変異が出現し,クローン選択/進化を時系列モニタリングすることができた. (2) 血中ctDNA解析によるMolecular Residual Disease (MRD) 検出とその意義の照明:卵巣癌の再燃症例ではCA125正常で画像検査ではstableの間に, 血中ctDNA解析でTP53変異を検出でき, 再発の早期発見のためのMolecular Residual Disease (MRD)の検出が可能であった. (3)卵巣高異型度漿液性癌におけるctDNAと腫瘍組織DNAとの TP53変異の一致率の解析:リキッドバイオプシーによるp53変異癌の検出のvalidationのため,ctDNAと腫瘍組織DNAが共に解析できたHGSOC 22例についてTP53変異の一致率の解析を行ったところ,16/22例(72%)で腫瘍組織DNAからpathogenicなTP53変異を認め,そのうち13/16例(81%)でctDNAと腫瘍組織DNAから同一のTP53変異を認め,ctDNA解析によりp53変異卵巣癌を検出できることが示唆された.
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