研究課題
本研究の目的は、子宮頸部腺系病変の早期発見のために、細胞診にて異型腺細胞(AGC)と判定された検体を組織診及びHPV検査結果に基づいて正確に層別化する事である。そのために、細胞診検体が集塊として持つZ軸情報を含む広視野・高解像度のフルフォーカス合成画像を用いてAI診断を行う新しいAI細胞診の確立を目的とした。研究計画に基づいて2020(R2)年度は、1. 異型腺細胞(AGC)と判定された子宮頸部細胞診検体収集、 2. フルフォーカス合成画像の取得、 3. AI による深層学習を計画し実施した。その結果を以下に示す。1. 異型腺細胞(AGC)と判定された子宮頸部細胞診検体収集:対象となる異型腺細胞(AGC)と診断された245例419検体を説明同意の元に収集した。また、組織診結果、HPV検査結果を含めた臨床情報も調査終了した。対象245例中HPV陰性の胃型粘液性癌は35例112検体集積された。2. フルフォーカス合成画像の取得:細胞診でAGCと判定された47例133検体(従来法:47検体、 ThinPrep LBC:43検体、 BD シュアパスLBC: 43検体)のフルフォーカス画像取得が終了した。3. AI による深層学習: 2で作成したフルフォーカス画像を598pixelで切り抜き5490枚の切り抜きタイルを作成した。この切り抜きタイルをLesion(AGC)とNon-lesion(AGCでない)に分類し、Lesion(AGC)3062枚、 Non-lesion(AGCでない)1921枚と不適画像(不鮮明等)507枚に分類した。その結果3062枚の教師データが作成できた。
2: おおむね順調に進展している
2020(R2)年度は、1. 異型腺細胞(AGC)と判定された子宮頸部細胞診検体収集、 2. フルフォーカス合成画像の取得、 3. AI による深層学習を計画し実施した。以下に各項目に関しての現在までの達成度について記載する。1. 異型腺細胞(AGC)と判定された子宮頸部細胞診検体収集:対象となる異型腺細胞(AGC)と診断された245例419検体を説明同意の元に収集した。対象245例中HPV陰性の胃型粘液性癌は35例112検体集積された。(2)おおむね順調に進展している。2. フルフォーカス合成画像の取得:細胞診でAGCと判定された47例133検体(従来法:47検体、 ThinPrep LBC:43検体、 BD シュアパスLBC: 43検体)のフルフォーカス画像取得が終了した。(2)おおむね順調に進展している。3. AI による深層学習: 2で作成したフルフォーカス画像を598pixelで切り抜き5490枚の切り抜きタイルを作成した。この切り抜きタイルをLesion(AGC)とNon-lesion(AGCでない)に分類し、Lesion(AGC)3062枚、 Non-lesion(AGCでない)1921枚と不適画像(不鮮明等)507枚に分類した。その結果3062枚の教師データが作成できた。(2)おおむね順調に進展している。
2021(R3)年度は当初の研究計画通り以下の作業を行う。1. 異型腺細胞(AGC)と判定された子宮頸部細胞診検体収集:2020(R2)年度に集積した症例の組織診結果、HPV検査結果を含めた臨床情報を調査する。臨床病理検討としてHPV型検査、胃型形質免疫組織検査(HIK1083、 MUC6、 AB/PAS等)も施行する。2. AI による深層学習: 2020(R2)年度に得たれた3062枚の教師データ画像を299 pixelに4分割する。そのうえで、さらにアノテーションを行い教師画像を作成する。
次年度使用額が生じた理由と使用計画: 初年度2020(R2)年に備品としてAI診断用のPC(Windows10対応)一式と高画質ディスプレイを購入した。その他消耗品として検査キット、試薬一式の費用を計上したが、新型コロナウイルス感染症防止対策上院内への外部業者立ち入りが制限された影響により、当初予定していたHPV型検査等の外部業者委託業務に遅れが生じた。次年度、新型コロナウイルス感染症状況が改善次第依頼する予定である。
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Acta Cytol.
巻: 64 ページ: 556-562
10.1159/000509667