研究実績の概要 |
本研究の目的は子宮頸部腺系病変早期発見のために、細胞診にて異型腺細胞(AGC)と判定された検体を組織診断結果に基づいて正確に層別化する事である。研究計画書に基づいて、2021(R03)年度は細胞診にて子宮頸部腺系病変を推定する異型腺細胞(AGC)と判定された細胞診標本からZ軸情報を含む広視野・高解像度のフルフォーカス合成画像を作成し、組織診結果に基づいてAIによる深層学習を行なった。以下にその成果を示す。 1.フルフォーカス画像を598pixelで切り抜き5490枚の切り抜き画像を作成した。この切り抜き画像を病変(AGC)と非病変(AGCでない)に分類し、最終的に病変画像(AGC)3058枚、 非病変画像(AGCでない)1925枚に分類し各々教師データとして用いた。 2.1.の教師データを用いて、各種AIモデルによる深層学習をおこなった。 3.各種AIモデルから得られた、病変(AGC)と非病変(AGCでない)を区別するベストスコアの正解率(A)と損失関数(L)を採取法別に記載すると、従来法:A 0.88, L 0.47、 LBC SurePath (LS)法:A 0.89, L 0.48、LBC ThinPrep (LT)法:A 0.85, L 0.49であった。正解率(A)はLS, 従来法, LTの順に高く、損失関数(L)は従来法, LS, LTの順に良い結果であった。 以上よりいづれの採取法でも従来の細胞診精度である、感度80-84%,を上回る結果であった。 (LBC: liquid-based cytology)
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