研究課題
本研究では、多くの患者で共通して認められる遺伝子変異として、マイクロサテライトの遺伝子変異により生じたフレームシフト(MSFS)に着目し、MSFS由来のネオアンチゲンを同定し、その免疫原性を評価し、ワクチン開発の可能性を検討した。International Cancer Genome Consortium (ICGC)、The Cancer Genome Atlas (TCGA)のデータベースを活用し、全ゲノム上でマイクロサテライトに認められる遺伝子変異の中から、フレームシフト変異を検索した。様々ながん種における変異の頻度、さらには変異ペプチドのRNA発現量をもとに、ネオアンチゲンの候補として30個の遺伝子(ACVR2A、KIAA2018、ASTE1、SEC31A、MSH3、RNF43、TBC1D23、TMEM60、TGFBR2、LTN1、CASP5、KMTC2、AIM2、LMAN1、PHACTR4、SMC6、WDTC1、BAX、GINS1、RPL22、CCDC150、RBM27、SLC35F5、AASDH、ESRP1、PRDM2、GRB14、MSH6、SLC35G2、MBD4)に着目した。患者ごとに異なるHLAに対応するため、ネオアンチゲンの探索には、25アミノ酸からなるロングペプチドを用いることとした。合成したペプチドは、フレームシフトの開始アミノ酸から20アミノ酸上流の配列からC末端のアミノ酸までの領域を10アミノ酸ずつスライドさせながらフレームシフトによって生じたアミノ酸変異の全領域をカバーするように68個のペプチドを合成した。4例のMSI-H患者が含む53例の卵巣がん患者の腫瘍の一部を採取し、次世代シーケンサー解析を実施した。今後、MSI-H患者とMSI-S患者におけるMSFS変異の有無を比較し、ネオアンチゲンの探索を行う予定である。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
Scientific Reports
巻: 10 ページ: 18503
10.1038/s41598-020-75536-1
Journal for ImmunoTherapy of Cancer
巻: 8 ページ: e001358~e001358
10.1136/jitc-2020-001358
Clinical & Translational Immunology
巻: 9 ページ: e1194
10.1002/cti2.1194