研究課題
Wilms Tumor 1(WT1) は泌尿生殖器系臓器の発生を制御する転写因子であると同時に、子宮内膜間質細胞の脱落膜化を制御する。我々は、マイクロアレイを用いたゲノムワイド発現解析を行ったところ、WT1は脱落膜化過程において、脂質代謝に関わる遺伝子を多く制御していることが分かった。また、脱落膜化により細胞内の脂質蓄積が増加すること、この脂質蓄積にWT1が関与していることを証明しており、またWT1の下流で脂質蓄積に関与する因子としてVery Low Density Lipoprotein Receptor(VLDLR)を同定した。さらに、WT1は脂質だけでなく細胞内へのグルコース取り込みに関与しており、WT1の下流でグルコース取り込みを制御する因子としてglucose transporter 1 (GLUT1)に着目した。脱落膜化でGLUT1発現は上昇するが、WT1をノックダウンすることでGLUT1発現が抑制されたことより、WT1はGLUT1発現を介して脱落膜化におけるグルコース取り込みに貢献していることが分かった。また、このGLUT1発現上昇は、WT1とC/EBPβがクロマチン構造を変換させるpioneer factorとして働きH3K27ac誘導を行うことで上昇させていることも分かった。このように、我々が独自に着目したWT1という転写因子は、脱落膜化においてC/EBPβにより制御され、脂質・糖代謝を制御する重要な転写因子であり、さらにはpioneer factorとしての側面も持っていることも明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 298 ページ: 101874~101874
10.1016/j.jbc.2022.101874