研究課題
癌におけるエピジェネティクス研究はDNAメチル化とヒストン修飾を中心に大いに発展してきたが、DNAメチル化が精力的に研究されて来たのに対して、DNA脱メチル化に関してはまだまだ解明されていないことが多い。そこで申請者はDNA脱メチル化過程の中間産物である５ヒドロキシメチルシトシン（5hmC）と癌に着目して研究を進めている。本研究課題において申請者は、卵巣漿液性癌の転移症例で5hmCレベルが高いことを見出した。現在は卵巣漿液性癌における5hmCレベルの違いが転移の有無とどのように関わっているのかを明らかにすることを目的に解析を行っている。具体的にはゲノム上のどの領域で5hmCレベルにどのような差があるのかを臨床検体を用いて次世代シークエンサーでの解析を行っている。最終的には癌の形質（転移の有無）と5hmCレベルの差異をエピゲノムレベルで結びつけることを目標としており、5hmCと癌の進展・転移との関係およびその機構を明らかにすることは癌を全く新しい視点で捉える研究に繋がり、癌研究における新しい領域となることが期待される。現在この研究は解析が一通り終了し、論文を作成している状況である。また本研究課題に密接に関連した研究として、5hmCレベルの子宮頸癌発癌過程における変化について解析し、そのメカニズムの一端を明らかにした成果を論文発表した。この論文ではまずCIN3、子宮頸癌症例において5hmCレベルが低下することを明らかにし、子宮頸癌の原因であるヒトパピローマウイルスに細胞が感染した後、どのように5hmCレベルが低下するのかを明らかにしている。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)
Reports
巻: - ページ: -
