研究課題/領域番号 |
20K09651
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
谷垣 伸治 杏林大学, 医学部, 教授 (80286533)
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研究分担者 |
花輪 智子 杏林大学, 医学部, 教授 (80255405)
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 教授 (80291326)
松田 剛明 杏林大学, 医学部, 教授 (80365204)
小林 陽一 杏林大学, 医学部, 教授 (90205493)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 絨毛膜羊膜炎 / 16S rRNA解析 / α多様性 / Ureaplasma |
研究実績の概要 |
2023年度内に,検体の収集を終え,16S rRNA解析に提出を開始しました.2023年度は,主にコントロール群にになると思われる例について提出しております.また,臨床データの登録がほぼ終了しました.解析が終了した母体16S rRNA解析データと新生児データを比較を行いました.その結果,新生児感染徴候認めた6例のうち,Ⅲ度の絨毛膜羊膜炎の2例のにおいて検査室培養での同定菌と羊水及び腟分泌物の16S解析でも最優勢の属でした.ただし1例はGBS,もう1例はHaemophillus のみ検査室では培養同定されましたが,16S rRNA解析ではUreaplasmaも検出されました.残りの4例中2例で16S rRNA解析では,Ureaplasmaが検出され,2例は絨毛膜羊膜炎の起因菌となりうるUreaplasma以外の菌が認められました.これらは検査室での培養では検出されませんでした.またⅢ度絨毛膜の羊水の16S解析では,α多様性の顕著な低下傾向を認めました.以上より16S rRNA解析による絨毛膜羊膜炎起因菌叢解析は,新生児感染症の治療対象を明確にし,適切な抗菌薬治療の実施に貢献しうると推測されました.さらにα多様性の評価することで絨毛膜羊膜炎の重症度も推測できる可能性があると思われました. これらの結果は,日本産科婦人科学会第75回学術講演会(東京,2023年5月13日)に,16S rRNA解析による絨毛膜羊膜炎起因菌叢解析の新生児感染症への応用という演題名で,発表しております.また本研究は,症例に応じた新生児感染症への適切に対処することも可能になることが期待されると認識されております.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究室の引っ越しがあり,中断期間が生じました.検体解析は,令和6年中に行う予定です(5月中に提出予定です).
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今後の研究の推進方策 |
令和6年5月中に,全ての検体を16S rRNA解析に提出予定です.その結果と臨床データとの比較を行います.今回の結果は,本邦の結果として有用ですが,それのみならず腸内細菌叢との比較を通じ,妊娠中の女性の体調管理についての考察につなげる予定です.またα多様性の変化は,分娩の予知につながると思っています.胎盤機能の低下と胎盤からのホルモンの低下が,腟内の自浄作用の低下と分娩時期へ影響していると考えています.自浄作用の低下が腟内細菌叢の変化に影響を与えていることは紛れもないことから,分娩時期の予測,ひいては早産の予測に有用と考えています.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室の引っ越しに伴い,令和5年度に解析に提出予定でしたが,令和6年5月になりました.
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