研究課題/領域番号 |
20K09654
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
熊谷 勝義 東京医科大学, 医学部, 助教 (20567911)
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研究分担者 |
須藤 カツ子 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (50126091)
西 洋孝 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (60307345)
高梨 正勝 東京医科大学, 医学部, 講師 (80312007)
原田 裕一郎 東京医科大学, 医学部, 助手 (80570168)
大野 慎一郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (90513680)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | WAPL / CIN / MACROD1 |
研究実績の概要 |
現在、我が国では子宮頸癌の患者数や死亡率が増加傾向にあり、特に20~40代の若年層に罹患の増加が著しい。また、子宮頸癌は子宮頸部前癌性病(CIN)の時期であれば、比較的低侵襲性治療で予後も良好である。一方、病変が進行した場合は外科的治療によりリスクを伴う。また、我が国では子宮頸癌の原因であるヒトパピローマウィルス(HPV)の感染を未然に防ぐ唯一の手段であったワクチン接種を2013年以降、積極的に控えている。本研究では、このような患者のリスクを削減し、ワクチンに代わる予防対策を子宮頸癌前癌病変モデルマウスの解析から得られた分子を応用して開発することを目的とし、好発年齢である若年層に対する子宮頸癌の発症を予防可能な画期的な予防法の開発を目指す。 CINや進行した子宮頸癌の患者の病変部でのHuman wings apart like (hWAPL)活性化や腫瘍形成に関与するが、そのメカニズムは明らかとなっていない。そこで、まずはマウスホモログのWaplをマウスの子宮頸部で高発現する遺伝子導入マウス(WAPL Tgマウス)を作成し、子宮頸部前癌病変様組織を呈するメカニズムを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮頸部前癌病変様組織を呈するWAPL Tgマウスでは、細胞周期や細胞増殖に関与する因子(MYC, Cyclin D1)の活性化が認められた。さらに、エストロゲン受容体(ER)の制御下にあるMACROD1を同定することに成功し、WAPL Tgマウスの子宮頸部では、MACROD1の発現が亢進していることを突き止めた。また、MACROD1をノックダウンしたヒト子宮頸癌細胞では、細胞周期や細胞増殖に関与するMYC, Cyclin D1の発現が抑制されることを突き止めた。一方、MACROD1抑制ヒト子宮頸癌細胞の細胞増殖機能解析を検討したところ、細胞増殖抑制は認められなかった。 MACROD1におけるin vivo解析を検討するため、ゲノム編集技術を利用してMACROD1 KOマウスを作成した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、内在性MACROD1をノックアウト(KO)したNull型MACROD1 KOマウスの血清サンプルより生理学的機能解析を行う。また、子宮頸部を含めて主要な臓器を摘出後に病理学的解析を行う。さらに、摘出した臓器の一部よりRNA・タンパク質を抽出し、細胞周期や増殖、子宮頸癌マーカーを用いて分子生物学的解析を実施することで、MACROD1抑制によるマウス生体への影響について明らかにする。これらの検討によりMACROD1抑制効果が認められた場合には、CIN予防効果を検証する。具体的には、MACROD1 KOマウスとWAPL Tgマウスの自然交配でMACROD1抑制WAPL高発現マウスを作成し、生理学的機能解析や子宮頸部を含めた主要な臓器の病理学的解析を行う。さらに、摘出した臓器の一部よりRNA・タンパク質を抽出後、分子生物学的解析を行うことでMACROD1抑制によるCINの予防効果をin vivoで明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に利用する試薬購入および論文作成の経費が必要となり、次年度使用額が生じた。
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