研究課題
現在、我が国では子宮頸癌の患者数や死亡率が増加傾向にあり、特に20~40代の若年層における罹患の増加が顕著である。また、子宮頸癌は子宮頸部前癌性病変(CIN)の段階であれば、比較的低侵襲性治療で予後も良好である。しかし、病変が進行した場合は外科的治療が必要となり、リスクを伴う。さらに、我が国では子宮頸癌の原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を未然に防ぐ唯一の手段であったワクチン接種を2013年以降、積極的に控えている。本研究では、このような患者のリスクを削減し、ワクチンに代わる予防対策を子宮頸癌前癌性病変モデルマウスの解析から得られた分子を応用して開発することを目的とし、好発年齢である若年層に対する子宮頸癌の発症を予防可能な画期的な予防法の開発を目指す。CINは進行した子宮頸癌の患者の病変部でのHuman WAPL(hWAPL)の活性化に関与するが、そのメカニズムは明らかになっていない。そこで、まずはマウスホモログのWAPLをマウスの子宮頸部で高発現する遺伝子導入マウス(WAPL Tgマウス)を作成し、子宮頸部前癌性病変様組織を呈するメカニズムを明らかにする。