研究課題/領域番号 |
20K09658
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研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
奈良 篤樹 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (60387959)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | MLN64 / エンドソーム / 電子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
ヒト胎盤細胞のミトコンドリアで大量に産生されるプロゲステロンは,妊娠維持に働く極めて重要なステロイドホルモンである。プロゲステロンの大量産生には,原料となるコレステロールを大規模かつ効率よくミトコンドリアへ輸送する必要があるものの,その輸送分子機構については謎が多い。研究代表者は,コレステロールと結合するエンドソーム膜タンパク質MLN64がエンドソームとミトコンドリアとの近接を制御することを発見した。そこで本研究は,胎盤細胞におけるエンドソームとミトコンドリア間の近接によるコレステロール輸送の分子機構の詳細解明を目的とする。新手法である3D免疫電顕解析を駆使することで,これまでの研究から浮き彫りとなった,異種オルガネラ近接領域の構造とその領域へのコレステロールの集積,MLN64の近接領域に関わる機能の問題(問い)を解決する。一連の研究によって,胎盤細胞におけるステロイドホルモン産生の分子機構が解明され,胎児の安定的成長を促す謎の多い胎盤機能の新たな提示が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,胎盤細胞におけるエンドソームとミトコンドリア間の近接によるコレステロール輸送の分子機構の詳細解明を目的とする。これまでの研究から,コレステロールと結合するエンドソーム膜タンパク質MLN64がエンドソームとミトコンドリアとの近接を制御することを発見した。特に,膜オルガネラであるエンドソームとミトコンドリアとの近接領域(およそ50nm)の構造を詳細に解析するには,電子顕微鏡を用いることが必要となる。そこで,当該年度の研究では,新手法である3D免疫電顕解析方法の確立を試みた。電顕観察に必要な材料や固定条件,抗体の反応条件等の検討を行い,最適な連続透過画像(-70°~+70°)の取得に成功した。また,得られた画像から立体を再構築することにも成功し,これらを安定的に行うことのできる方法を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,胎盤細胞におけるエンドソームとミトコンドリア間の近接によるコレステロール輸送の分子機構の詳細解明を目的とする。当該年度では,新手法である3D免疫電顕解析方法の確立を試みた。電顕観察に必要な材料や固定条件,抗体の反応条件等の検討を行い,最適な連続透過画像(-70°~+70°)の取得に成功した。また,得られた画像から立体を再構築することにも成功し,これらを安定的に行うことのできる方法を確立した。 今後の研究推進方策は,課題である抗体の条件検討を行う。通常,トモグラフィーでは超薄切片に一定の径の金粒子を塗布し,この金粒子を目印に位置情報を決定して立体再構築を行う。本研究の新手法では,金粒子を塗布するのではなく,免疫抗体を金標識し,標識された金を目印にすることを目指す。エンドソームマーカーとなるタンパク質や,ミトコンドリアマーカーとなるタンパク質の抗体を使用し,最適化の検討をする。また,MLN64自身の分布を明らかにすることを目的に,その抗体を幾つか作製し,本方法に用い検討する。
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