本研究は、がんゲノム医療の更なる実装化に向けた基盤研究の確立を目的にした。 1つ目の研究としては、PARP阻害剤の治療標的になる相同組換え修復経路の基礎的研究を行った。新規の相同組換え修復因子であるMED1に着目し、MED1の相同組換え修復経路における役割を解明、MED1を含めたメディエーター複合体の異常がPARP阻害剤の治療標的になる可能性、MED1におけるR-loop processingという新規機能への解明を行い論文報告をした。 2つ目の研究としては、バイオマーカーに基づく薬剤治療の感受性評価を行うために婦人科がんにおける患者由来オルガノイド安定培養系の確立をした。稀少がんである子宮頸部小細胞癌においてオルガノイドを樹立し、患者組織検体・樹立オルガノイドの全エクソン解析によりactinable変異の同定、RNA-seqによりHPVインテグレーションサイトの同定及び周辺がん遺伝子の活性化評価を行った。オルガノイドを用いた薬剤感受性の評価、オルガノイド由来ゼノグラフトを用いた薬剤感受性評価の系を確立した。上記の成果で論文報告を行った。 3つ目の研究は、クリニカルシークエンスTOPにかかわるものでがあるが、婦人科がんでのがん原遺伝子の同定頻度及びactionable変異の同定の頻度に関する報告、生殖細胞系列病的変異の同定頻度、生殖細胞系列及び体細胞に関する病的意義不明変異の解析等に関して学会発表及び論文発表を行った。
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