研究課題/領域番号 |
20K09666
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
幸村 友季子 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80537415)
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研究分担者 |
伊東 宏晃 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70263085)
内田 季之 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (90570234)
成味 恵 浜松医科大学, 医学部附属病院, 医員 (50594321)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 胎児期低栄養環境 / 小胞体ストレス / 肝脂肪変性 |
研究実績の概要 |
胎生期低栄養および出生後の急速なcatch up growthを経験した場合の、脂肪組織に注目し、遺伝子解析を組織学的変化の解析を行うことにより、将来のメタボリックシンドローム発症リスクのメカニズムの解析を行うことを目的とし、胎生期低栄養-授乳期catch up マウスモデルにて実験を行った。 胎生期低栄養群は、自由摂餌群と比べ、有意に体重および精巣周囲脂肪重量, 肝臓重量の増加を認め、脂肪組織および肝臓組織における小胞体ストレス亢進が認められた。小胞体ストレス緩和剤である二次胆汁酸(Tauroursodeoxycholic acid;TUDCA)を投与した場合、有意に減少および肝脂肪変性の改善が認められた。精巣周囲脂肪組織における、遺伝子解析では、①胎生期低栄養群と自由摂餌群および、②胎生期低栄養群におけるvehicle投与群とTUDCA投与群のマイクロアレイ解析で、①②どちらの比較においても、多くの変動遺伝子が認められた。また①および②それぞれにおいて、発現遺伝子リストから、エンリッチメント解析を行い、胎生期低栄養やTUDCA投与による変化は炎症と関連のある遺伝子の影響を受けている可能性が示唆された。また、炎症に関わる検討として、精巣周囲脂肪において、F4/80マクロファージ特異的免疫染色を行ったところ、胎生期低栄養群では優位にマクロファージ浸潤の増加を認めていることが分かった。 また、肝臓において、Gene Enrichment 解析を行ったところ脂質代謝に関する遺伝子の変化が多く認められ、CideA,Cと小胞体に関するpathwayが動いていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症の蔓延で、対面での実験指導の時間が大幅に減少した。 また、海外からの試薬の搬入に時間を要することが多かった。
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今後の研究の推進方策 |
今後炎症に関わるアディポカインの遺伝子発現についてPCRにて解析を進める予定である。また現在小胞体ストレスの亢進については、IRE1経路の検討が主であるが、PERKやATF6についても検討を進める予定である。母体のエネルギー摂取不足による胎生期低栄養は、児の臓器における慢性炎症のリスクをプログラミングするというという新たな視点から、妊娠中および児の出生後の新たな介入について研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた検体数と比べ、実際に実験に使用した検体数が少なかったため。 新型コロナの影響にて、予定していた学会がすべてWeb開催となったため。
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