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2022 年度 実施状況報告書

医療技能のデジタル化で実現する卵巣腫瘍の革新的診断システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K09667
研究機関名古屋大学

研究代表者

池田 芳紀  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (30820378)

研究分担者 小泉 憲裕  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10396765)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード医療技能のデジタル化 / 人工知能 / 卵巣腫瘍 / 早期発見 / 死亡率低下
研究実績の概要

本研究の目的は、医療技能のデジタル化により、卵巣腫瘍の革新的診断システムを開発することである。卵巣腫瘍の術前診断は、臨床情報、各種検査データを参考に、医師が良・悪性を推定している。熟練した画像診断医は、画像読影時に卵巣腫瘍の病理組織型まで推定している。人工知能技術を用いてこの医師の技能をデジタル化し機能としてシステムに実装し、学習を積むことで、人間を超える高い診断精度を実現する。卵巣悪性腫瘍の早期発見手法として発展・確立し、ゴールは卵巣悪性腫瘍の死亡率減少である。本研究は下記の4つのステップで卵巣腫瘍の診断システムの開発を行う。本研究期間においては1~2のステップを繰り返してシステムの性能を高め、有効性を検証する。当該年度は1の段階で最初の目標である約200症例分のデータの抽出を終え、研究分担者のグループにデータを集積した。複数の機械学習モデルで学習し評価を行った。問題点を抽出し、1~2のステップを繰り返して診断精度の向上を図っている最中である。
1.名古屋大学産婦人科で治療した卵巣腫瘍症例の診療情報、検査データの抽出・解析;名古屋大学産婦人科で治療した卵巣腫瘍症例の患者臨床情報、血液・画像検査データ、摘出物の最終病理組織型の情報を抽出する。研究分担者のグループに集積して解析し、システムの枠組みを構築する。
2.システムの性能の評価;上記で使用していない卵巣腫瘍症例のデータをシステムに入力し、出力された良性・境界悪性・悪性の診断と病理組織型の正診率を評価する。
3.症例数を拡大し診断精度の向上を図る;名古屋大学産婦人科と複数の関連病院で組織する東海卵巣腫瘍研究会の登録症例へとデータの集積を拡大する。
4.卵巣悪性腫瘍の早期発見に向けてシステムの発展・確立;一般的な検診で収集可能な臨床情報・血液検査データと経腟超音波データのみで診断を可能にし、早期発見手法として実用化を検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

進捗状況としては大幅に遅れている。COVID-19感染症の流行により本研究期間のスタート時点からすでに研究活動に制限がかかっていたことが最大の原因である。昨年度で、名古屋大学産婦人科で治療した卵巣腫瘍症例の患者臨床情報、血液・画像検査データ、摘出物の最終病理組織型の情報を抽出し、研究分担者のグループに集積して解析し、システムの枠組みを構築する予定であった。まず初めに必要な作業としては、多数例の臨床情報、検査データ、画像データを匿名化して収集することである。データ収集のためには研究補助員が電子カルテシステムを参照する必要があり、施設に出勤しての作業がどうしても必要なため、テレワーク下では作業困難であった。データ収集作業が当初の予定通りスタートできず計画より大幅に遅れを生じた。一昨年度から昨年度で、最初の目標であった約200症例分の患者臨床情報、血液・画像検査データ、摘出物の最終病理組織型の情報の抽出を終え、昨年度から今年度にかけて研究分担者のグループへのデータ集積作業を行った。また、今年度は複数の機械学習モデルで学習、評価を行い、機械学習モデルの再検討を繰り返し行っているがまだ十分な診断精度が得られていない。研究分担者のグループでのデータ解析・システムの枠組みの構築を次年度も引き続き行っていく。

今後の研究の推進方策

最初の目標であった約200症例分の患者臨床情報、血液・画像検査データ、摘出物の最終病理組織型の情報の抽出を終え、研究分担者のグループへのデータ集積作業を行い、複数の機械学習モデルで学習、評価を行った。まだ十分な診断精度が得られておらず、機械学習モデルの再検討が必要な状況で、今後も引き続き学習、評価を繰り返していく必要がある。また、臨床情報・血液検査データと同じ機械学習モデルで画像検査データを扱うために、どのような手法で画像検査データを処理するかが大きな課題となっている。次年度は研究代表者のグループで機械学習を用いた研究経験がある研究補助員を確保しており、データ解析作業を推進する。今後の研究の進捗をみながら、さらに研究分担者のグループで本研究に携わる大学院生の増員も視野に入れ、研究分担者と綿密に相談・検討しながら本研究を推進していく。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19感染症の流行により本研究期間のスタート時点から研究活動に制限がかかっていたため、研究補助員によるデータ収集作業が当初の予定通りスタートできず計画より大幅に遅れを生じた。本研究期間の最初から研究補助員を雇用してデータ収集作業がスタートできなかったため、その分の人件費を計画通りには使用できていない。また、一昨年度から昨年度には出張会議による旅費の支出が0であったため、そのことも次年度使用額が生じた理由の一つである。今年度はオンライン会議だけでなく開発したシステムの実機を用いて性能評価のための会議を一度だけ開催できた。データ解析後に対面で行った初の会議となったが、非常に有用であった。次年度は積極的に対面での会議を行いたい。また、次年度は研究代表者のグループで機械学習を用いた研究経験がある研究補助員を確保しており、その人件費に充てる予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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