研究課題
基盤研究(C)
独自に作製した遺伝子X欠損マウスでは、胎盤と胎仔肝において鉄代謝関連遺伝子Hampの発現が上昇するとともに、胎仔肝に鉄の蓄積が生じることを明らかにし、Xが母児間鉄代謝に関わる新規因子である可能性を見出した。さらに、胎盤でXが発現していれば、胎仔肝のXが欠損していてもHampの発現上昇や鉄の蓄積が生じないという興味深い知見も得られ、胎盤に発現するXが胎仔肝における鉄代謝を制御している可能性が示唆された。
実験動物学・生殖生理学
母児間鉄代謝は、胎盤という特殊な臓器の存在により成体の鉄代謝とは一線を画する機構を有している可能性が示唆されているが、母体・胎盤・胎児の三者が関わる複雑な相互作用が全容解明を困難にしている。本研究では、母児間鉄代謝の解析に有用な動物モデルの作製に成功し、実際に、胎盤が胎仔肝の鉄代謝を制御するメカニズムの解明に向けた、足掛かりとなる結果が得られている。今後の発展も期待できる成果であり、学術的に高い意義を有する。