視床下部mHypoA-55細胞にキスペプチンとGnRHが蛋白レベルで共発現することを免疫細胞染色で確認した。キスペプチン(KP10)刺激でmHypoA-55細胞におけるKiss-1及びGnRH遺伝子発現が共に増加した。KP10はERK活性の指標となるSreプロモーター活性を約20倍に増加させた。またcAMP/PKA活性の指標となるCreプロモーター活性もKP10により2.3倍に増加した。KP10によるSre活性はMEK阻害剤(PD098059)で抑制されたが、PKA阻害剤(H89)の存在下でも有意に抑制された。KP10刺激によるCreプロモーター活性はPKA阻害剤により完全に抑制されたが、MEK阻害剤存在下でも有意に抑制された。KP10刺激によるKiss-1及びGnRH発現の上昇はMEK阻害剤存在下で有意に抑制され、PKA阻害剤存在下でも同様に抑制された。 キスペプチンは視床下部Kiss1/GnRH発現細胞において自身のKiss-1遺伝子とGnRH遺伝子発現を増加させた。キスペプチンはERK及びcAMP/PKA経路の両シグナルを活性化させ、両経路にはクロストークが存在した。キスペプチンによるKiss-1及びGnRHの発現にERK及びcAMP/PKA経路双方の活性化が必要である可能性が示された。
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