研究課題
妊娠中の母体過栄養や栄養不足、産科合併症などによる子宮内環境の悪化は,胎児過剰発育または発育不全を生じ、出生児成長後の肥満・メタボリック症候群発症リスクを増加させることが知られているが,この世代間連鎖の実体は十分には解明されていない。我々は肥満・メタボリック症候群発症を抑制・予防する次世代型の周産期医療の開発に取り組み,世代間連鎖動物実験モデルを独自に開発し,アディポサイトカイン遺伝子エピゲノムの変化が成長後の肥満・メタボリック症候群発症に深く関与していることを明らかにした。しかし解析した遺伝子やエピゲノム変化が限定的であったことから,本研究では子宮内環境の影響をアディポサイトカインに加えて糖・脂質代謝遺伝子全体に拡げ代謝エピゲノムの観点から網羅的に解析したところ、いくつかの遺伝子で影響を認めたことから、さらに詳しく解析している。さらにヒト検体にて,子宮内環境のアディポサイトカインを中心に糖・脂質代謝遺伝子発現やエピゲノムへの影響を調べたところ、ヒト臍帯血にて胎児発育異常を伴う妊娠合併症による子宮内環境の悪化によるアディポネクチンレベルやアディポネクチンプロモーター領域のヒストン修飾への影響を認めた。マウスの動物実験で認められた結果と同様であった。本研究で世代間連鎖のメカニズムに迫り,子宮内環境を反映するバイオマーカーを開発し,ヒトでの先制医療実用化への基盤とするため、引き続き研究を継続する。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通りに、おおむね進展している。
研究計画通りに、本研究を推進する予定である。
新型コロナウイルス感染症蔓延により、学会出張が中止となったため旅費としての支出がなかった。次年度の物品費および旅費として使用予定である。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件)
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