研究課題/領域番号 |
20K09674
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
橋本 周 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (30570949)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 時間制限のある食物アクセス / 胚盤胞 / 生殖能力 / 活性酸素 / コレステロール |
研究実績の概要 |
餌の与え方(自由摂取 vs 時間制限摂取)と餌の種類(普通食(NC:脂肪分12%) vs 適度 高カロリー食(mHCD:脂肪分31%))が雌マウスの生殖能力に及ぼす影響を検討した。mHCDを与えたマウスはNCを与えたマウスに比べ、卵子数が多かった。一方、餌へのアクセスを時間で制限した状態でNCを与えたマウス(NT)では、正常受精卵数あたりの胚盤胞への発育率が他と比較して有意に低下していた。また、卵母細胞中の活性酸素は、時間制限食餌群およびNC群において増加した。これらのマウスの全卵巣組織のトランスクリプトーム解析により、4群間でコレステロール代謝に変化が見られた。時間制限食アクセスは、NC群およびmHCD群ともに血清LDLコレステロール値を低下させた。さらに、NTマウスでは、自由食アクセスマウスに比べ、閉鎖卵胞の数が増加した。本研究により、mHCD給餌は卵胞数および排卵卵子数を増加させ、NCの時間制限給餌は受精後の卵子の発育能力を損なうこと、その原因はおそらく血清コレステロール値の変化と卵子のROS含量の増加に起因すると考えられた。 卵巣組織のトランスクリプトーム解析では、代謝経路(mmu01100)、ステロイドホルモン生合成経路(mmu00140)、PPARシグナル伝達経路(mmu03320)、グリコサミノグリカン生合成-ケラタン硫酸経路(mmu00533)が確認された。アポリポ蛋白B、C、E、リポ蛋白リパーゼを含むコレステロール代謝(mmu04979)、リン脂質輸送蛋白の遺伝子発現パターンが有意に変化していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、NGSの解析ならびに血清中のコレステロールの測定を行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
給餌時間制限群での卵母細胞の発育能低下の原因を調べるため、以下を検討する。 1. 血中の炎症性サイトカインの日内動態 2. 血中のコレステロールレベルとの関連性 3. 各ステージの卵胞数
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