研究課題
基盤研究(C)
本研究では、通常酸素濃度下および低酸素濃度下の栄養膜細胞におけるHIF-2αを介したFlt1遺伝子の発現機構を調べた。その結果、HIF-2αの二量体化パートナーであるHIF-1βが、両方の培養条件で関与していることが明らかとなった。さらに、HIF-2αが結合するFlt1遺伝子上の低酸素応答性エレメントの候補の位置が、それぞれの培養条件で異なる可能性も示唆された。
分子細胞生物学
妊娠高血圧症候群(PE)の病態進行には、胎盤の栄養膜細胞より過剰分泌される抗血管新生因子sFlt1が中心的役割を果たしている。本研究により、栄養膜細胞が低酸素ストレスを受けるとHIF-2αとHIF-1βが協力してsFlt1分泌を増強させることが明らかとなった。現時点においてPEの治療薬は確立されておらず、本成果はHIF-2αとHIF-1βの複合体形成阻害がPEの新たな治療戦略となる可能性を示唆するものである。