研究課題/領域番号 |
20K09676
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
矢部 慎一郎 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50436458)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 合胞体性栄養膜細胞 / ES細胞 / 胎児胎盤環境 / 発生学的分子機構 |
研究実績の概要 |
研究状況は現在文部科学大臣の研究認可待ちである。 本研究は、ES細胞の合胞体性栄養膜誘導における時期特異的遺伝子発現の推移に着目するが、具体的にはgalectin family等の免疫応答、Solute Carrier / ATP-binding cassette等のトランスポーター、16 hydroxysteroid dehydrogenase / cytochrome P450の代謝等、機能をになう遺伝子推移から初期胎児胎盤環境の発生学的特徴を明らかにすることを目標とする。 初期絨毛の形態形成はまた、恒常的な組織低酸素状態から段階的に酸素濃度を上昇させていく過程でもある。酸素化状態の変更により発生学的特徴に変化が生じることはないのか、その変化は機能を担う遺伝子にどのような影響を与えうるのか、複数の酸素条件を設定しHypoxia inducible factorsを軸として明らかにしていきたい。 また、細胞性栄養膜細胞から合胞体性栄養膜細胞が形成される過程における絨毛外性栄養膜細胞の関与は明らかにされていない。お互いに別系統のまま形成されるのか、どちらかが前駆体となりえるのか、一時的にでも共通のサブユニットを経るのか、HLA-Gを指標にextracellular matrix componentの発現推移と合わせて両者の発生学的関与の可能性について検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ES細胞をもちいた本研究を施行するために、ヒトES細胞の使用に関する指針(文部科学省平成31年4月1日告示)に従い使用許可手続きを進めている。まず埼玉医科大学倫理審査委員会の意見聴取をもとにした埼玉医科大学学長の本研究実施の適否に対する審査を経て、現在文部科学大臣への届出を行っている。使用計画について文部科学大臣への届出受理後、使用計画の実施に対する埼玉医科大学学長の最終承認を経て、研究を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1. 誘導細胞の細胞剥離条件の検討を行う。合胞体性栄養膜細胞は多核癒合後の成熟細胞のため刺激に弱いことが想定されtrypsinのみならずgentle dissociation reagentを加えて細胞損傷を避けうる至適濃度及び温度を検討する。 2. 誘導細胞の単離マーカーの検討を行う。セルソータのマーカーとしてGCM1/CGAのみならず、形態分化マーカーのDLX3や Syncytin1 や機能分化マーカーとしてのAP-2 やhPLを複数組み合わせて、最適な単離条件を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始の認可取得が遅れているため。本来令和2年度に施行予定であった、ES細胞から誘導した合胞体性栄養膜細胞の時間特異的遺伝子発現プロファイルの作成について令和3年に研究施行する予定である。妊娠末期胎盤から初回培養して作成した合胞体性栄養膜細胞の遺伝子解析については、GEO profileのデータを参考に用いることを考慮する。
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