研究課題/領域番号 |
20K09693
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
北村 嘉章 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60380028)
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研究分担者 |
武田 憲昭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30206982)
水口 博之 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (40247838)
福井 裕行 大阪大谷大学, 薬学部, 研究員 (90112052)
神村 盛一郎 徳島大学, 病院, 助教 (90867194)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アレルギー性鼻炎 / 好酸球浸潤 |
研究実績の概要 |
アレルギー性鼻炎は国民の約1/2が罹患する国民病であり、アレルギー性鼻炎の症状で最も難治の鼻閉はアレルギー性炎症の遅発相における好酸球性炎症の関与が大きいことが知られている。治療抵抗性の鼻閉を改善するためには、アレルギー性鼻炎における鼻粘膜の好酸球性炎症の病態の解明とその治療法の開発が必要である。 我々は、アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜のIL-33遺伝子発現の亢進が末梢血好酸球数の増加と相関することを明らかにし、好酸球性炎症に対するIL-33遺伝子発現亢進の関与が示唆された。さらにSwiss 3T3 細胞を用いてIL-33遺伝子発現の亢進には、蛋白キナーゼCδシグナルの活性化が重要であることを明らかにした。そこでダニ抗原を用いたアレルギー性鼻炎モデル動物を作成し、モデル動物に対して我々が見出したIL-33遺伝子発現の亢進を抑制する効果のある蛋白キナーゼCδシグナル抑制薬を用いて鼻粘膜のIL-33遺伝子発現亢進を抑制することで、鼻粘膜の好酸球性炎症が抑制され、アレルギー性鼻炎症状が抑制されるかどうかを検討している。 ダニ抗原アレルギー性鼻炎モデル動物の急性期モデルとして、ダニ抗原を10ugでday 0,7の点鼻感作の後、day14以降に週3回の点鼻チャレンジ、さらにダニ抗原20ug、40ug、80ugと増量するモデル、慢性期モデルとしてday 0,7の点鼻感作の後、day14以降に週3回の点鼻チャレンジをさらに1~3週継続を行った。断頭後に頭部全体を固定、脱灰することで鼻副鼻腔全体の切片を作成することができ、このダニ抗原アレルギー性鼻炎モデル動物の鼻粘膜の好酸球浸潤を組織学的に確認することができた。しかしながら、LPSを除去したダニ抗原では鼻粘膜への好酸球浸潤が少数であり、蛋白キナーゼCδシグナル抑制薬の効果をみることが困難と考え、LPSを除去しないダニ抗原モデルでも検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
6週齢のBALB/c雌マウスに対し、ダニ抗原を点鼻することでダニアレルギー性鼻炎モデル動物を作成し、断頭後に頭部全体を固定、脱灰することで鼻副鼻腔全体の切片を作成することができた。そしてモデル動物の鼻粘膜の好酸球性炎症を組織学的に確認できた。 しかしながら、LPSを除去したダニ抗原では鼻粘膜への好酸球浸潤が十分でなく、蛋白キナーゼCδシグナル抑制薬の効果をみることが困難と考えられ、LPSを除去しないダニ抗原モデルでも検討を行っている。さらにコロナ禍で学生や大学院生の実験参加が十分できなかったことも遅れの理由となっている。
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今後の研究の推進方策 |
ダニ抗原の点鼻スケジュールを急性期モデルとして、ダニ抗原を10ugでday 0,7の点鼻感作の後、day14以降に週3回の点鼻チャレンジした。さらにダニ抗原20ug、40ug、80ugと増量するモデル、そして慢性期モデルとしてday 0,7の点鼻感作の後、day14以降に週3回の点鼻チャレンジをさらに1~3週継続したが、、鼻粘膜の好酸球浸潤や杯細胞、鼻腔粘液の増加を確認できたが、組織学的な反応がやや弱いので、LPSを除去しないダニ抗原モデルでも検討を行っている。鼻粘膜の好酸球性炎症の組織学的な反応を最適化した後、鼻粘膜のIL-33遺伝子発現の測定し、IL-33遺伝子発現に対する蛋白キナーゼCδシグナル抑制薬の効果を明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、学会がオンラインとなり、旅費の使用額が想定より少なくすんだため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費と合わせて次年度のダニ抗原の購入費、モデルマウスの種類の増加にかかる費用に使用する予定である。
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