研究課題/領域番号 |
20K09694
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
小森 正博 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (30565742)
|
研究分担者 |
兵頭 政光 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00181123)
仲 哲治 岩手医科大学, 医学部, 教授 (30303936)
世良田 聡 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 准教授 (50463302)
梶山 泰平 高知大学, 医学部附属病院, 医員 (60807931) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 頭頸部癌 / 遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
頭頸部扁平上皮癌では、STAT3の活性型(pSTAT3)強陽性例で予後が不良になる。また、放射線療法や化学療法にてpSTAT3の発現が増強されることも報告される。近年、STAT3の活性化を選択的に抑制できるSOCS1アデノウィルスベクター(AdSOCS1)が開発された。本研究では頭頸部癌に対するAdSOCS1の効果を検討している。 頭頸部癌細胞株からAdSOCS1の増殖抑制作用があり、アデノウイルスベクター受容体が発現が確認できた中咽頭癌細胞株(Detroit562)と舌癌細胞株(SCC-9)を用いている。AdSOCS1がpSTAT3の発現を抑制し、G2/M期を抑制してアポトーシスを促進することを明らかにしていた。この1年間には、Detroit562とSCC-9をヌードマウスの背中皮下に注入して癌腫を作成した。腫瘍体積が100mm3になったところからAdSOCS1とAdLacZを腫瘍周囲に注入した。いずれの細胞株においても腫瘍の増大が抑制され、in vivoの実験系におけるAdSOCS1の有用性を示した。 次に、AdSOCS1の細胞増殖抑制がアポトーシスと細胞周期の停止によることを明らかにしていたので、さらにそれらの細胞内シグナル伝達機序について検討した。AdSOCS1が両細胞株共にG2/M期を抑制したが、JAK inhibitor IはDetroit562株におけるG0/G1期を、SCC-9株におけるG2/M期を抑制した。また、AdSOCS1はpSTAT3とp-p44/42 MAPKの発現を抑制し、さらに抗アポトーシス蛋白のBcl-xLの発現を抑制した。一方、JAK inhibitor Iでは、Bcl-xLの発現を抑制されず、MEKinhibitorにてBcl-xLの発現が抑制されたのはSCC-9株のみであった。 ここまでの結果を英文雑誌に掲載した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ感染に対する院内対応に時間を取られたことが大きい。第5類になったことにより、以前のような環境に戻ることを期待している。
|
今後の研究の推進方策 |
臨床サンプルを用いた検討を始めている。免疫染色に必要な1次、2次抗体を随時購入しながら研究を継続する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
臨床サンプルの選択に時間を要し、免疫染色を行うための1次、2次抗体の購入まで至らなかったため、次年度の使用額が生じた。今後、随時抗体を購入して、染色を行う予定である。
|