研究課題/領域番号 |
20K09698
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岡本 康秀 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 客員講師 (10317224)
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研究分担者 |
大塚 翔 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (00776049)
神崎 晶 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50286556)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 耳音響放射 / 低音障害型難聴 / 感音難聴 / 外有毛細胞 / 内耳障害 |
研究実績の概要 |
耳音響放射を用いた低音域の内耳機能評価手法を確立することを目的として研究を進めてきた。手法は振幅変調音により誘発される耳音響放射(Amplitude-Modulated-tone-Evoked OAE,以下AMEOAEと記す)を用いることで低音障害型難聴に対しての病態評価ができることである。 昨年度までは「刺激との相対瞬時位相および位相変調度を指標とした検出法」を中心に測定機器の開発を行ってきたが、実際の難聴者でのデータから必ずしも臨床で使えるデータが取れずにいた。つまり、刺激レベルごとに刺激音に対するAMEOAEの相対瞬時位相を抽出し,その位相変調度を評価することによって基底膜振動の圧縮特性のニーポイントを予測する測定方法ではノイズによる影響もあり安定的な測定法とはならなかった。 そこで、最終年度に測定法をさらに考案し「群遅延を指標とした検出法」を用いたところ安定的に低音障害型難聴での評価が可能となった。この蝸牛遅延は,聴覚フィルタの位相特性による位相歪みが群遅延という形で耳音響放射に反映されるものと考えられ、聴覚フィルタの形状変化は外有毛細胞の能動運動に起因するものと考えられるため,耳音響放射の群遅延を指標とすることで外有毛細胞の健全性が評価できる可能性があると考えたためである。これにより測定方法は確立された。しかし、難聴者でのデータの蓄積がさらに必要であり、本年度の研究は終了となるが引き続き測定法の簡略化、測定時間の短縮などを含めて実臨床で使用可能な測定機器開発を続けていく予定である。
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