研究課題/領域番号 |
20K09706
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
石井 裕貴 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (40568250)
|
研究分担者 |
櫻井 大樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10375636)
吉村 健太郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (70516921)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | パクリタキセル / 免疫修飾 / 一次代謝産物 |
研究実績の概要 |
現在、再発頭頸部癌においてNivolumabやPembrolizumabといった免疫チェックポイント阻害剤が用いられ、がん免疫療法が行われている。しかしながらその奏功率は約15-20%と未だ十分とは言い難い。今回我々はがん免疫療法の効果をより増強させるため、パクリタキセルの免疫修飾作用に注目し、局所の抗腫瘍免疫に影響する候補因子を探索することとした。 今年度は2種類の頭頸部扁平上皮癌細胞株(SAS細胞およびHOC313細胞)を用いてin vitroにてパクリタキセルで誘導される代謝変化について解析を行った。両細胞株を0.5uMのパクリタキセルで48時間刺激した。刺激後サンプルを100%メタノールで処置を行い、トリプル四十極質量分析計を用いて腫瘍細胞由来のアミノ酸、核酸、低分子有機化合物を含めた一次代謝産物を中心に網羅的な検出を行った。パクリタキセル刺激後の頭頸部扁平上皮癌細胞では27種類の一次代謝産物が有意に上昇してることが確認できた。27種類の代謝産物の中に、ピルビン酸と乳酸が有意に上昇しており、抗がん剤のストレス刺激に対してがん固有の代謝が増加しており、生存を維持しようとする代謝変化が確認できた。さらに必須アミノ酸であるメチオニンやフェニルアラニンを同定された。現在、パクリタキセル刺激による代謝酵素の変化を確認するため、SAS細胞およびHOC313細胞のパクリタキセル刺激なしと刺激ありをそれぞれトリプリケートで用意しRNeasy mini kit(QIAGEN)にてtotal RNAを抽出し、quality controlでRNAの分解がないことを確認し、今後QuantSeq 3’mRNA-seqにてパクリタキセル刺激で変化する遺伝子プロファイルを同定する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在in vitroにおいて頭頸部扁平上皮癌におけるパクリタキセルによる代謝変化を27種類同定できており、局所の抗腫瘍免疫に影響する因子として候補に挙げられており、さらに網羅的遺伝子解析を行なっている最中で結果を解析を待っているため。
|
今後の研究の推進方策 |
現在in vitroにおいて頭頸部扁平上皮癌におけるパクリタキセルによる代謝変化を27種類同定できており、局所の抗腫瘍免疫に影響する因子として候補に挙げられている。今後はこれらの代謝産物に注目して、抗腫瘍免疫に影響する因子を同定し、免疫チェックポイント阻害剤の効果を増強できるような併用治療につなげられるかどうか検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
網羅的遺伝子解析および蛋白解析が遅れており、それに関わる費用を次年度に一部繰り越す必要があった。
|