舌癌27例の原発巣、血液から抽出したリンパ球からDNAを抽出し、コバリスで断片化したDNAからシーケンスラーブラリーを作製し、Miseqを用いてターゲットシーケンスを行った。TCGAのデータベースから81%の症例で変異が検出されると予想されたTP53、FAT1、CDKN2A、NOTCH1、PIK3CA、KMT2D、CASP8の7遺伝子のエクソン領域をターゲットとしたところ、23例(85%)でターゲットとなる遺伝子変異を同定できた(変異率;31-63%)。次いで、23例でこれら遺伝子変異を血漿中に同定できるか検証するため、個々の変異をデジタルPCRで測定するためのプライマープローブセットをデザインした。腫瘍組織をデジタルPCRで測定したところ、21例においてMiseqで得られた変異とほぼ同様の変異率で検出できた。 これら症例の治療前の血漿では21例中16例で検出できた。StageI-IIでは13例中8例、StageIII-IVでは8例中8例で検出され、StageとctDNAコピー数には有意な相関を認めた(p<0.001)。また、原発巣のDOIとctDNAにおいても強い相関を認めた。T1N0M0の1例も検出できた。6例のうち術後1週間前後に血漿中の変異が残存したものは3例あり、うち2例でその後再発を認めた。これら2例は術直後に比べ、再発時の血漿中変異コピー数は上昇していた。11例に再発を認めたがそのうち8例で再発時の血液サンプルが存在した。再発時のctDNAは1例を除き検出された。 以上より、舌癌患者のリキッドバイオプシーによりターゲットとなる遺伝子変異は進行癌では検出可能であり、早期癌でも再発時には多くの症例で検出された。また、一部の症例では術後早期に潜在的再発を予測できた。今後有用なバイオマーカーとなり得ることが示唆された。
|