研究課題
農水省生物資源研究所より供与を受けたスギ花粉症治療米を用いて,経口免疫療法あるいは舌下免疫療法の有効性につき,スギ花粉症マウスモデルの誘導相と反応相における有効性について検討した.スギ花粉抽出物で全身感作を行う前に,治療米を経口投与もしくは舌下投与する実験系を組み,点鼻にて局所感作を行い,くしゃみや鼻掻きの症状を観察した.その結果,誘導相と反応相いずれの投与においても,鼻症状の抑制効果が有意に認められた.鼻症状の抑制効果が認められた免疫療法群において,対照群に比して,ELISA 法での血清中特異的 IgE 抗体の低下や鼻粘膜への好酸球浸潤の低下が明らかにされた.舌下免疫療法を行ったマウスにおいて,対照群に比較して,頸部リンパ節リンパ球のアレルゲン特異的な Th2 型サイトカイン産生の低下と IFN-γの産生の亢進を認めた.遺伝子導入したT 細胞エピトープを含む蛋白顆粒のみを用いることにより経口的自然摂取で,鼻症状の抑制に必要な有効投与量を低下させることができた.用量依存的に血清中の特異的 IgE 抗体の減少や鼻粘膜への好酸球浸潤の低下も認められた.蛋白顆粒を舌下投与した実験系においても,鼻症状の抑制効果を認めることが証明された.用量依存的な鼻粘膜への好酸球浸潤の低下も確認された.ヒト気道上皮細胞株からのリポ蛋白刺激での TLR2 を介した IL-8 や IL-15 の産生の検討や,マウス骨髄由来のマスト細胞を用いて IgEの架橋による肥満細胞からのサイトカイン産生について検討を行った.細胞内シグナル伝達経路の阻害剤のみならず,H1受容体拮抗薬が,マスト細胞からのTh2 型のサイトカイン産生を臨床用量で濃度依存的に抑制することを明らかにした.この系では,MAP kinase 経路のうち,p-38 と Erk の経路を抑制していることが示唆されている.
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