研究課題/領域番号 |
20K09713
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上田 勉 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (70522928)
|
研究分担者 |
樽谷 貴之 広島大学, 病院(医), 助教 (10569007)
卜部 祐司 広島大学, 病院(医), 助教 (10648033)
河原 大輔 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (20630461)
竹野 幸夫 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (50243556)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 深達度診断 / 経口的咽喉頭手術 / Deep learning / Radionics / 人工知能(AI) / 咽喉頭癌 |
研究実績の概要 |
2008年から2020年における咽喉頭腫瘍に対して経口的咽喉頭手術を施行した115病変のデータベースを作成し背景因子,病理結果および治療成績について検討した。115病変中100病変が悪性と診断されており,上皮内癌が54病変,pT1が33病変,pT2が12病変およびpT3が1病変であった。疾患特異的生存率は98.0%,無再発生存率は91.8%であった。これらの病変の内視鏡画像(白色光,NBI,NBI拡大観察)が揃っている96病変(SCC in situ54病変、SCC42病変)の内視鏡画像288枚を画像加工技術なども用いながら,neural networkと呼ばれるパターン認識をするように設計された,人間の脳神経回路をモデルとした多重構造によるアルゴリズムを用いてデータを学習する手法であるDeep learningにより機械学習させ深達度診断(上皮下浸潤の有無)の精度を検証した。Deep learningによる深達度診断の精度に関しては,当初の予想より若干低い傾向があり,その原因として,経口的咽喉頭手術を開始した初期の病変の内視鏡画像が低画質であったことと更なるデータ数の増加も必要と考えられた。続いて,2018年より開始している経口的超音波検査による深達度診断の検討も合わせて行い,術後病理結果と人間の目での超音波検査所見の比較をした。その結果,人間の目での経口的超音波検査による上皮下浸潤に関わる深達度の正診率は85.7%であった。今後は,内視鏡画像と超音波画像における特徴選択アルゴリズムを用いて画像の特徴量を抽出し,情報を数値化して機械学習させるRadiomicsによる検討に移行する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースの作成と病変の内視鏡画像(白色光,NBI,NBI拡大観察)をDeep learningにより機械学習させ深達度診断(固有筋層への浸潤の有無)の精度を検証したことは当初の予定通りである。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,深達度診断の精度の改善のために更なる症例の集積と高画質の画像の選択を考慮する必要があり現在進行中である.また,経口的超音波検査の画像も含めた総合的な画像群からRadiomicsを用いて特徴量を抽出し人工知能を用いて機械学習させ、超高精度な深達度診断ができるシステムの構築を行う
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は発表や出席を考慮していた学会の延期などにより旅費が発生しなかったことで,旅費を使用しなかった。現在までのデータベース作成やDeep learningの検討は令和2年度に計上したワークステーションで処理可能であったので,設備備品費や消耗品に差額が生じた。また,今年度計上の予定ではなかった本研究の年ごとの学内の疫学委員会審査料の支払いと,現在投稿中の論文の英文校正料をその他で計上している。令和3年度は更なる高性能のCPU搭載のワークステーションやそれに類似するシステムが必要になり,購入予定として設備備品費を計上している。また,学会発表,出席のための旅費を計上している。
|