本研究は、SLC26A4遺伝子変異による難聴・平衡障害の発症メカニズムの一端を明らかにした点で学術的に意義がある。SLC26A4欠損がマクロファージの機能異常を引き起こし、内耳の変性に関与することを示した。この知見は内リンパ水腫などの内耳奇形の分子病態解明に貢献する。 一方、社会的には難聴患者の病因解明と新規治療法開発への手がかりを与えた。SLC26A4遺伝子変異は先天性難聴の主要な原因であり、マクロファージ制御を標的とした新しいアプローチが有望視される。さらに、m-TOR阻害剤によるマクロファージ活性調節が内耳変性抑制に有効かを検証する重要性が示された。
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