研究課題/領域番号 |
20K09730
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岸本 曜 京都大学, 医学研究科, 助教 (80700517)
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研究分担者 |
大西 弘恵 京都大学, 医学研究科, 研究員 (50397634)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 声帯 / 線維化 / 瘢痕 / マクロファージ / 極性 |
研究実績の概要 |
マクロファージの極性変化に影響することが報告されているピオグリタゾン(PIO)をラット物理的声帯損傷モデルに投与し、炎症期(損傷後4日)のマクロファージ極性と線維芽細胞活性への影響、および、瘢痕成熟期(損傷後2か月)の声帯粘膜固有層の組織変化を検討した。マクロファージのマーカーとしてCD68を、炎症性(M1)マクロファージのマーカーとしてiNOSとIL-1βを、そして抗炎症性・修復性(M2)マクロファージのマーカーとしてCD206とIL10を用いた。 炎症期の評価は免疫染色とqPCRを用いて行った。マクロファージ数とCD68・CCL2(単球遊走ケモカイン)の遺伝子発現がPIO投与群で有意に減少したことから、PIOがマクロファージの遊走を抑制することが示唆された。また、M1マクロファージの割合とIL-1βの遺伝子発現がPIO 投与群で有意に減少したことから、PIOがM1活性を抑制することが示唆された。一方、M2マクロファージの割合とIL-10の遺伝子発現は有意な差を認めなかった。TGFβ1、Col1a1、Fn1、Acta2の遺伝子発現がPIO投与群で有意に抑制されたことより、PIOが線維芽細胞の活性を抑制することが示唆された。 瘢痕成熟期の評価は組織染色と免疫染色を用いた。PIO投与群で声帯粘膜固有層の断面積の減少が有意に抑制され(HE染色)、線維化が抑制(マッソントリクローム染色)された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初初年度はin vitroでの検討を予定していた。ラットと共に米国ウィスコンシン大学で樹立されたヒトの声帯線維芽細胞のセルラインを用いる予定であったが、COVID-19の流行の影響により、輸入できなかった。そのため、2年目以降に予定していたin vivoの実験を先行して行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
再度ウィスコンシン大学にコンタクトをとり、セルラインの輸入を試みる。 また、引き続き損傷声帯に対するピオグリタゾンの効果を検証するとともに、マクロファージの極性に影響する他の薬剤(アジスロマイシン、フェドラチニブなど)の効果に関しても検討し、マクロファージの極性コントロールが線維化に与える影響を明らかにする。
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