研究課題/領域番号 |
20K09739
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
松崎 洋海 日本大学, 医学部, 准教授 (00451328)
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研究分担者 |
浅居 僚平 日本大学, 医学部, 助手 (60851095)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | papilloma / Human papillomavirus / recurrence |
研究実績の概要 |
現在、咽頭・喉頭・気管といった気道に発生した乳頭腫の臨床データを集積している。 呼吸器の新生物である再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)の再発の予防やその予測因子の発見は本研究の課題の一つである。集積したデータの一部を用いた途中経過として、24名の研究対象者のデータをまとめて、国際雑誌に投稿し掲載された。内容は以下のように述べた。24名の対象患者さんで、手術治療と補助療法を加えた前後で、HPV感染状態の変化、術間間隔、および疾患重症度スコア(Derkayの部位スコア)を比較した。結果として、HPV-DNA陽性であった24人のRRP患者のうち12人(52.5%)は、併用療法後に陰性になった。手術間隔の平均は、治療後6.85プラスマイナス4.49か月から30.5プラスマイナス27.6か月に大幅に延長されました(P <0.01)。参加者のDerkayのスコアの中央値も、治療後に7.5(四分位範囲、5から12)から1(四分位範囲、0から4.25)に大幅に減少しました(P <0.01)。やはり、HPV陰性になった症例では、病勢が抑制されていることを示唆している。 他にも、咽頭に発症した乳頭腫に関しても、発症部位、術間感覚、疾患重症度スコア及びHPVのDNA測定を行なっている。その場合の発症頻度の高い部位の一定の傾向について、検討し、今年度で各種学会や雑誌の投稿を通じて、報告する予定である。今後もさらに、気道に発生した乳頭腫症例のデータを蓄積し、治療経過の予後を予測する因子を見出し、診療の効率化を目指して行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象の患者さんに対し手術治療及び補助療法の混合治療を行い、その前後の比較をしその途中の結果をまとめることができた。その結果は、外国雑誌に投稿し、オンラインで掲載されており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、対象とする気道乳頭腫の患者さんの基本的データとHPV感染状態の変化、術間間隔、および疾患重症度スコア(Derkayの部位スコア)を定期的に蓄積してきている。定期的な観察の中で、蓄積された各種パラメーターと、臨床経過との関連性について検討を重ねていく。またさらに、症例数の増加があれば、そのデータを加えて、治療経過の予後を予測する因子を見出すことを目標とする。その中で予後予測因子がもしも同定できれば、予後良好と判断される患者さんへの、過剰な検査を減らすことも可能になるかもしれない。そうした観点で、診療の効率化を目指して行きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費は学会参加をオンラインで行なっており、旅費は支出していない。 また、物品費として見越していた経鼻内視鏡機器は、値段に見合う中古品が市場になく購入を諦めた。 次年度に持ち越す予定である。なお、現状では研究専用ではない内視鏡を使用している。しかし、他の通常業務と時間的にも空間的にも研究専用でない一般の内視鏡併用が困難な事例が多発しており、研究専用の内視鏡の購入が望ましいと考えている。
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