研究課題/領域番号 |
20K09741
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
原 浩貴 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90274167)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | いびき / 音響解析 |
研究実績の概要 |
睡眠呼吸障害の重要な症状であるいびきは、睡眠中の上気道形態と気流に関わる多くの情報をもつ。本研究では、我々の先行研究をさらに発展させ、いびきの音 圧の変化量、周波数の上昇・下降の変化量を用いて睡眠中の呼吸中枢の不安定性、咽頭筋の反応性を推定し、さらに酸素飽和度低下指数(oxygen desaturation index: ODI)と相関することが明らかになっている酸化ストレスマーカーである尿中8-hydroxy-2'-deoxygu anosine(8-OHdG)の測定を併用することで、終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)に代わり在宅で実施可能な、OSAの重症度判定に有効な非侵襲的な新しい診断法を確立することを目的としている。具体な方法としては、1) 音声解析ソフトウェアである MDVPを用いたいびき音の音響解析を行い、2) 上気道の閉塞部位を周波数特性で、呼吸中枢の不安定性をいびきの音圧の変化量で、 咽頭筋の反応性をいびきの周波数の上昇・下降の変化量で表し、3) 睡眠中の低酸素の反復状態を表すODIの代用として、酸化ストレスマーカーである尿中8-OHdG を測定し、前述の3指標と併用する事で疾患の重症度を推定する。 本年度もPSGのために入院した患者のいびき音の記録と音響解析を実施した。いびきの音圧の変化量、周波数の上昇・下降の変化量を用いて睡眠中の呼吸中枢 の不安定性、咽頭筋の反応性を推定することを試みているが、いびきの音圧の変化には睡眠中の体位の影響および睡眠段階の影響に加え、呼吸様式の影響があることから、アレルギー素因の影響を確認し、睡眠呼吸障害の重症例ではアレルギー素因の影響が大きい傾向が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症における感染対策などの影響で、睡眠中の体位を赤外線カメラで記録する方法が進まず音響解析における体位の影響のカメラによる確認が進まなかった。しかし研究に支障を来す程のおおきな影響はなく、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
睡眠中の体位を赤外線カメラを用いて記録するためのwifi環境が整うため、すでに入手した赤外線カメラを用いた体位記録を開始し、音響解析の参考にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の影響で、昨年度に引き続き予定していた国内外の学会参加による情報収集が制限された。本年度は、現地開催予定の学会も増えているため、情報収集を進める。
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