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2020 年度 実施状況報告書

上気道炎症に対するエイコサペンタエン酸代謝物の作用についての基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K09754
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

戸嶋 一郎  滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80567347)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードアレルギー性鼻炎 / 好酸球性副鼻腔炎 / 好中球性炎症 / エイコサペンタエン酸 / ILC2 / 粘液産生 / 気道上皮細胞
研究実績の概要

ω3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)には多数の代謝物が存在し、近年その抗炎症作用が注目されているが、個々の代謝物の機能についてはほとんどわかっていない。また、上気道炎症に対するEPA代謝物の抗炎症作用について検討した報告はない。代表者はEPA代謝物のうち17,18-epoxy-eicosatetraenoic acid (17,18-EpETE)の抗炎症作用に着目した。
上気道炎症は、外来環境抗原によって引き起こされる「好酸球性炎症」と細菌・ウイルス感染などで生じる「好中球性炎症」に大別される。本研究の目的は、17,18-EpETE の抗炎症作用を、それぞれの病態に応じた炎症刺激と培養細胞、さらにマウスモデルを利用して検討し、難治性上気道疾患であるアレルギー性鼻炎、好酸球性副鼻腔炎、非好酸球性副鼻腔炎などに対する、ω3脂肪酸代謝物を利用した、安全かつ低侵襲な新規治療法開発のための基盤を構築することにある。
好酸球性炎症に対する抗炎症作用として、ヒトILC2をIL-33で刺激して産生されるIL-5/IL-13に対し、17,18-EpETEによる抑制作用が見られるのかを検討した。またIL-33点鼻で作成した自然型好酸球性炎症マウスに対し、17,18-EpETEを投与することで鼻粘膜の好酸球浸潤や粘液産生、肺胞洗浄液中のIL-5やIL-13を抑制するか検討した。
好中球性炎症に対する抗炎症作用として、培養ヒト気道上皮細胞をTNF-αで刺激して産生されるIL-6/IL-8/MUC5ACに対し、17,18-EpETEを投与することで抑制作用が見られるのかを検討した。またLPS点鼻で作成した好中球性炎症のマウス鼻炎モデルに対し、17,18-EpETEを投与することで鼻粘膜の好中球浸潤や粘液産生、肺胞洗浄液中のIL-6、KCなどを抑制するか検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に記載していた項目のうち、複数の内容を検討することができ、またある程度の結果を得ることができた。上記の内容を日本鼻科学会や日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会などで発表することができた。

今後の研究の推進方策

2020年度までの結果から、ヒト気道上皮細胞における17,18-EpETEの受容体については、GPR40が主な受容体と考えられる。一方、ヒトILC2を用いた検討では、受容体はGPR40だけではないのかもしれない。FACSや受容体阻害薬などを用いて、GPR40以外に受容体がないか検討する。またヒト鼻茸由来の培養線維芽細胞を用いたin vitroでの検討(IL-33で刺激し、eostaxin-1、RANTESなどの産生を評価する、およびTNF-αで刺激し、IL-6、IL-8などの産生を評価する)や、細胞内分子機構の検討についても今後施行する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初、ILC2における17,18-EpETEの受容体はGPR40だけと予想していたが、GPR40以外の関与もあるように思われたため、研究計画の一部を変更して他の受容体についても検討する必要が生じた。このため、上記の検討や解析などを次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 好酸球性副鼻腔炎の治療におけるインフォームド・コンセント2021

    • 著者名/発表者名
      戸嶋一郎
    • 雑誌名

      MB ENTONI

      巻: 255 ページ: 17-24

  • [学会発表] Anti-inflammatory effects of 17,18-epoxyeicosatetraenoic acid and its metabolite on IL-33-induced innate eosinophilic inflammation in upper airway2020

    • 著者名/発表者名
      Ichiro Tojima, Shiori Hara, Keigo Nakamura, Sayuri Yamamoto, Masatomo Toyama, Hiroyuki Arai, Hideaki Kouzaki, Shino Shimizu, Takeshi Shimizu
    • 学会等名
      JSA/WAO joint congress 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] 上気道自然型アレルギー炎症におけるω3脂肪酸代謝物の抑制作用2020

    • 著者名/発表者名
      戸嶋 一郎、原 思織、山本 小百合、神前 英明、清水 志乃、清水 猛史
    • 学会等名
      第38回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
  • [学会発表] 17,18-epoxy-eicosatetraenoic acidとその代謝物による上気道自然型好酸球炎症抑制作用2020

    • 著者名/発表者名
      戸嶋 一郎、原 思織、中村 圭吾、山本 小百合、新井 宏幸、神前 英明、清水 志乃、清水 猛史
    • 学会等名
      第59回日本鼻科学会
  • [学会発表] 2型自然リンパ球ILC2を介した上気道好酸球炎症に対するエイコサペンタエン酸代謝物を用いた新規治療法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      戸嶋 一郎
    • 学会等名
      第37回滋賀医科大学シンポジウム
  • [学会発表] ω3脂肪酸代謝物 17,18-EpETEによる上気道好中球性炎症抑制作用2020

    • 著者名/発表者名
      原思織、戸嶋一郎、神前英明、清水志乃、清水猛史
    • 学会等名
      第38回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会

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公開日: 2021-12-27  

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