研究課題/領域番号 |
20K09760
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
北原 糺 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30343255)
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研究分担者 |
岡安 唯 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10596810)
伊藤 妙子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (60623486)
北野 公一 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70790129)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 内耳破壊 / 前庭代償 / ラット / 動物行動学 / 免疫組織化学 / c-fos |
研究実績の概要 |
一側内耳破壊ラットの単位時間当の自発眼振数は内耳破壊直後にピークに達し、その後48時間以内にしだいに消失した。一方、NMDA受容体拮抗薬であるMK801を腹腔投与すると、内耳破壊直後に類似する自発眼振が一過性に再出現した。一側内耳破壊ラットの脳幹におけるFos陽性ニューロンの発現はmRNAレベル、タンパクレベル、いずれも内耳破壊側の内側前庭神経核と健常側の舌下神経前位核に陽性反応を認めた。一側内耳破壊ラットの前庭代償完了以前にMK801を腹腔投与すると、図2とは逆に健常側の内側前庭神経核と破壊側の舌下神経前位核にFos陽性反応を認めた。 以上より、一側内耳破壊のような内耳性めまい疾患患者は、その急性期に前庭小脳や前庭交連線維が健常側の前庭神経核の活動性を抑制することで、左右の核活動性の均衡を保ち、平衡失調から回復するものと考えられた。そしてその神経回路にはNMDA受容体が重要な役割を演じていると考察できる。 今後の課題は、老齢ラットにおける内耳破壊後の平衡失調、c-Fosタンパク発現動態を観察し、MK801による脱代償現象を用いて代償完了までの期間が加齢によりどう変化するかを確認したい。そして、様々なリハビリ運動をラットに負荷し、代償完了までの期間がどう変化するかを検索したい。そのことにより、現在行われているめまいリハビリ治療に基礎医学的エビデンスをもたらすとともに、新規治療法の開発にも繋がると信じている。
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