多施設研究によって耳下腺唾液腺導管癌の予後因子と治療標的を明らかにする

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 20K09763
• 研究機関: 東海大学
• 研究代表者: 大上 研二 東海大学, 医学部, 教授 (90223734)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: Salivary Duct Carcinoma / 予後因子 / リンパ節転移 / 節外浸潤

研究実績の概要

唾液腺導管癌（Salivary Duct Carcinoma: SDC ）の予後予測因子や新規治療のための基礎的な研究をおこなった。
多施設症例の手術病理検体を集積した。HE染色と免疫組織学的手法で脈管侵襲と転移リンパ節の節外浸潤について解析を行っている。得られた病理および免疫組織学的な所見と、臨床病理的因子および生存率の関連を明らかにして、病理学的および臨床的予後因子について解析している。国際的にもこれほどの多数のSDCの病理検体の集積は例がなく、所見の集積と臨床病理学的因子の関連を解析することはSDCの病態の解明のみならず、治療についても大きな示唆を与えるインパクトの高い研究となりつつある。
並行して行っている他施設共同研究でSDCの治療反応性の予測と予後予測に関するバイオマーカーの研究成果を国際誌に報告した（Natsuki Saigusa, Hideaki Hirai, Yuichiro Tada, Daisuke Kawakita, Masato Nakaguro, Kiyoaki Tsukahara, Satoshi Kano, Hiroyuki Ozawa, Takahito Kondo, Kenji Okami, et al. The Role of the EZH2 and H3K27me3 Expression as a Predictor of Clinical Outcomes in Salivary Duct Carcinoma Patients: A Large-Series Study With Emphasis on the Relevance to the Combined Androgen Blockade and HER2-Targeted Therapy. Cacner Sci 2021）。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

多施設共同研究の標本収集や染色を着々と進めている。病理組織所見としてのいくつかの因子を解析している。
並行して行っている研究のデータ発表をすでに英文誌でおこなっている。

今後の研究の推進方策

バイオマーカーの検索と、臨床病理学的因子との関連を調べ、予後因子や治療に関連する因子の解析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

（理由） 研究の進展に伴い病理学的所見の評価について新たな知見が得られ、評価方法の変更を行うために研究計画の変更が必要となった。
（使用計画）次年度の研究で病理学的評価をより精度の高いものとする予定である。
残金　540,0000

研究成果

• [雑誌論文] The Role of the EZH2 and H3K27me3 Expression as a Predictor of Clinical Outcomes in Salivary Duct Carcinoma Patients: A Large-Series Study With Emphasis on the Relevance to the Combined Androgen Blockade and HER2-Targeted Therapy (2021)
  • 著者名/発表者名: Saigusa N, Hirai H, Tada Y, Kawakita D, Nakaguro M, Tsukahara K, Kano S, Ozawa H, Kondo T, Okami K, Togashi T, Sato Y, Urano M, Kajiwara M, Shimura T, Fushimi C, Shimizu A, Okamoto I, Okada T, Suzuki T, Imanishi Y, Watanabe Y, Sakai A, Ebisumoto K, Sato Y, Honma Y, Yamazaki K, Ueki Y, Hanazawa T, Saito Y, Nagao T.
  • 雑誌名: Cancer Sci 巻: 11 ページ: -
  • DOI: 10.3389/fonc.2021.779882. eCollection 2021.
  • 査読あり