本研究では座位という頭位を固定した状態での測定を中心とした従来のアプローチ方法と異なり、ヘッドマウント型眼球運動解析装置を用いることで、日常に近い頭位変化を伴う眼位・眼球運動の評価を行うことが可能であった。頭位変化が眼位・眼球運動へ及ぼす影響を見出しただけなく、その定量的評価が可能であることを示した。本研究は正常の生理学的見地のみならず、中枢性および末梢性眼球運動障害の鑑別といった、疾患の病態生理の見地からもアプローチを可能にすることで眼球運動制御機構の理解を進めることが可能であると考えられ、同時にリハビリ分野など他分野への応用も期待できる学術的・社会的に重要な研究であると考えられる。
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