研究実績の概要 |
Optical coherence tomography Angiography(OCTA; 光干渉断層撮影アンギオグラフィー)は網膜血管を、内層から外層へ層別に三次元的に描出可能である。網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)では、静脈閉塞部位の血流密度(PD)が低下する。昨年度、PDは閉塞部の網膜感度(RS)と正の相関があることを報告した。(Rachima S, Hirabayashi K, Murata T et al. Prediction of post-treatment retinal sensitivity by baseline retinal perfusion density Sci Rep 2020 Jun15;10(1):9614) 本年度は、網膜静脈分枝閉塞症で、閉塞及び出血が見られない側の方が、治療後視力に関係するのではないかという仮説を検証し、この仮説が正しいことを報告した。(Relationship between central retinal sensitivity, thickness, perfusion density and visual acuity in patients with branch retinal vein occlusion. Hirabayashi K, Murata T Acta Ophthalmologica 2022 doi: 10.1111/aos.14841) 中心窩の網膜感度を、中心から2度の4点で測定し、網膜静脈分枝閉塞症に罹患している側の2点と罹患していない側の2点の網膜感度と視力の関係を検証した。視力は、罹患していない側の2点の網膜感度と相関した。遷延する黄斑浮腫は非罹患側の視細胞を不可逆性に障害して、視力の回復を困難にする。早期の治療開始で、非罹患側の網膜感度が低下しないようにすべきである。
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