研究課題/領域番号 |
20K09772
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
丸山 和一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (10433244)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ぶどう膜炎 / 硝子体液 / マイクロバイオーム / 細菌叢 / サルコイドーシス |
研究実績の概要 |
本研究では、大阪大学病院眼科におけるぶどう膜炎患者の臨床検査データ・眼科機器データの収集および眼内液採取を行い、眼内液マイクロバイオーム解析による眼内炎の診断および治療戦略の開発を目的としている。 現在までに、500例のぶどう膜炎患者のデータを取得しており、眼内液採取についても順調に進んでおり、硝子体液250サンプルのストックを保有している。昨年度から本年にかけては、眼内液サンプルを用いたマイクロバイオーム解析を開始し、現在論文作成中である。また、本研究では、細菌性眼内炎および真菌性眼内炎において、マイクロバイオーム解析が有用であることを確認しており、今後は診断だけでなく、的確な治療を提供するためのツールとしてマイクロバイオーム解析をさらに発展させていく予定である。さらに、本研究では、特発性黄斑円孔患者と比較したサルコイドーシス患者の細菌叢に異なりが見られることが明らかになった。現在は、サルコイドーシス患者の細菌叢についても探索中である。 本研究の成果は、眼内炎の診断および治療に関する新しい知見を提供するとともに、マイクロバイオーム解析を利用した研究手法の発展にも貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、眼内液サンプルを用いたマイクロバイオーム解析により、細菌性眼内炎および真菌性眼内炎の診断・治療における有用性を検証している。まず、患者データ収集については、順調に進んでいる。現在までに十分な量のサンプルを収集することができ、分析に十分なデータを得ることができている。また、マイクロバイオーム解析による結果も得られ、現在論文作成の段階にまで進み、一報は投稿済みである。細菌性眼内炎および真菌性眼内炎において、マイクロバイオーム解析が大変有用であることが明らかになった。特に、診断だけでなく、個別の患者に合わせた的確な治療方法を提案することができることが期待される。これらの成果により、細菌性眼内炎および真菌性眼内炎の診断・治療において、マイクロバイオーム解析が有用であることが示されている。今後は、より多くのサンプルを分析し、より正確な診断・治療法を提供できるように努める。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、硝子体液のマイクロバイオームに着目し、サルコイドーシスにおけるアクネ菌の影響を探索することを目的としている。さらに、細菌性眼内炎・真菌性眼内炎において、起炎菌の同定を行い、今後症例数を増加させ、臨床に用いるための開発を進めていく予定である。硝子体液のマイクロバイオームは、眼球内の微生物叢を指し、眼球内の病気に重要な役割を果たすことが示唆されている。本研究では、サルコイドーシス患者の硝子体液をサンプリングし、その中に存在するアクネ菌の存在を調査することで、サルコイドーシスの病態について理解を深めることを目指している。また、細菌性眼内炎・真菌性眼内炎においては、起炎菌の同定が治療法の選択に大きく影響するため、正確かつ迅速な同定方法の開発が求められている。本研究では、臨床検体からの起炎菌の同定を行い、今後の症例数増加に備え、より効率的かつ正確な方法の開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に必要な費用はまかなえたが、わずかに次年度に使用額が生じた。次年度にRNAseqを考えており、その為の費用にも使用する予定である。
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