研究課題
加齢黄斑変性(AMD)の病態形成に、補体第二経路の活性化の関与が示されているが、補体レクチン経路と古典経路の関与は不明である。最近、申請者らは、滲出型AMD患者前房水中で、レクチン経路と古典経路での共通の補体因子C4の活性化とレクチン経路の補体因子MASP-2の低値を発見し、滲出型AMDの病態形成への両補体経路の関与の可能性を初めて見出した。1. 滲出型AMD患者前房水中における補体因子の解析令和2年度は、滲出型AMD患者および白内障患者の治療時に前房水を採取した。また、抗ヒトMASP-1抗体の作製を試みた。2. MASP-1欠損の滲出型AMDモデルにおける病態解析令和2年度は、MASP-1欠損マウスと野生型マウスを用いて、レーザー照射光凝固法により滲出型AMD様病変を誘導した。照射後7日目に、新生血管病変サイズを解析した。その結果、野生型マウスに比べMASP-1欠損マウスにおいて、新生血管病変サイズの縮小傾向が認められたものの有意差には至らなかった。この原因として、手技的要因によりレーザースポット面積に個体差が生じたことが考えられる。
3: やや遅れている
レーザー照射光凝固法では、手技的要因により公平で正確な病変の評価ができなかったため。
1.滲出型AMD患者前房水中における補体因子の解析採取した滲出型AMD患者および白内障患者の前房水中のレクチン経路と古典経路の補体因子の濃度や活性化の有無をELISA法、サイトメトリックビーズアレイ法、ウェスタンブロット法を用いて解析し、白内障患者の解析結果と比較検討する(大森、石龍)。2. MASP-1欠損のAMDモデルにおける病態解析レーザー照射光凝固法では、病変の評価が困難であったため、ヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)誘発網膜障害モデルを用いて、MASP-1欠損のAMDモデルにおける病態解析を行う。令和3年度から4年度にかけて、MASP-1欠損マウスと野生型マウスを用いて、ヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)誘発網膜障害モデルにおいて、視細胞障害を誘導する。NaIO3投与後7日目に、網膜組織の病変、網膜電図による網膜機能、免疫蛍光法による網膜組織への補体分子の沈着レベルについて解析し、野生型マウスの解析結果と比較検討する(大森、関根)。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Invest Ophthalmol Vis Sci
巻: 61 ページ: -
10.1167/iovs.61.13.39.