研究実績の概要 |
環境因子(分泌型miRNA・Exosome)によるエネルギー代謝特性の変動の明確化のために前房水中のmiRNA特性を検討した。角膜内皮機能不全(水疱性角膜症:BK)患者と白内障患者(正常対照者:CAT)の前房水中のmiRNAを解析した。BK群とCAT群のそれぞれの前房水に高発現する上位50のmiRNAを抽出し比較した。BK群のみで抽出されたmiRNAは24種、BK群とCAT群の双方で抽出されたmiRNAは73種、CAT群のみで抽出されたmiRNAは24種であった。miR-184, miR-24-3p, miR-92b-5pはBK群とCAT群の双方で抽出され、BK群に比してCAT群で有意に高発現であった。培養ヒト角膜内皮細胞亜集団で、相転移細胞に比して成熟分化細胞で高発現しているmiR34aはBK群とCAT群の双方で低発現であった。miR-184, miR-24-3p, miR-92b-5pは培養ヒト角膜内皮細胞の培養上清中でも高発現で、miR-184, miR-24-3pは相転移細胞に比して成熟分化細胞で有意に高発現であった。miR-184は培養上清から抽出した細胞外小胞(EVs)中でも高発現であった。細胞間コミュニケーションにおいてEVs含有miRNAは効率的に働くとされている。miR-184 inhibitorが培養ヒト角膜内皮細胞亜集団のうち成熟分化細胞において、ミトコンドリア膜電位の脱分極を誘導し、生合成に係るperoxisome proliferator-activated receptor-gamma coactivator 1-α (PDC1α), voltage-dependent anion channel 1 (VDAC1), mitochondrial transcription factor A (TFAM) の発現を低下させることを確認した。
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