研究課題/領域番号 |
20K09780
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
平山 雅敏 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90528473)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 涙腺 / ドライアイ / 再生医療 / 細胞外小胞 |
研究実績の概要 |
涙腺は涙液を眼表面に分泌することで眼表面上皮の恒常性を維持する。涙液中には水分だけでなく、涙液タンパク、電解質、サイトサインなどの液性因子を含む。涙腺機能の障害による涙液量の低下は、涙液水分、液性因子の不足を引き起こし、ドライアイなどの眼表面上皮障害の原因となる。涙腺機能障害に対して、既存の涙液補充療法に加え、再生医療による涙液機能再生が試みられている。 これまで涙腺再生医療の実現に向けて、上皮幹細胞、間葉幹細胞を用いた三次元涙腺再生の手法の開発が求められており、マウス胎生期細胞を用いた技術開発が進んでいる。再生涙腺は、マウスへの移植により生着し、涙腺分泌能の改善を認めるなどの進展を見せる一方、今後の臨床応用には再生涙腺機能に対する新規バリデーション手法を確立し、再生涙腺移植の効果判定や安全性を判別することが求められる。 本研究では、三次元涙腺再生医療の進展を目指して、涙腺再生手法とその新規バリデーション手法の確立を目指して、今期、涙腺における液性因子のひとつである細胞外小胞の存在とその役割について解析をした。マウスより麻酔下において涙液を採取し、超遠心法にて細胞外小胞を分離し、電子顕微鏡下にて観察を行った。また、ウェスタンブロッティング法にて細胞外小胞マーカーの発現を確認した。さらに、マウス培養角膜上皮細胞に細胞外小胞を添加し培養したところ、角膜上皮細胞において恒常性にかかわる可能性が示唆された。 次年度においては、継続し涙腺より分泌される涙液の機能解析を進め、将来の涙腺再生医療における新しい涙腺機能のバリデーション手法の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において涙液より細胞外小胞を分離する手法を確立し、観察することで涙液中の細胞外小胞の存在を確認した。次年度では、涙腺再生手法の技術開発に着手すると同時に、涙液細胞外小胞の特性解析をすすめ、新しい涙腺・涙液機能の一つの指標として展開していく技術的な柱として研究を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度に新しく発見された涙液細胞外小胞に着目し、解析を進めていく。細胞外小胞は、一般にはマイクロRNAやタンパク質を含むと考えられており、涙液細胞外小胞においてもその内容について詳細な検討が必要である。まず、培養細胞を用いて涙液細胞外小胞の上皮細胞への取り込み能を持つかを解析する。さらに、取り込まれた細胞における遺伝子解析をおこない、その機能を解析する。涙液量は非常に少なく、細胞外小胞量の確保が課題となるが、プールされた条件で涙液量を確保し、涙液細胞外小胞に含まれる核酸について次世代シークエンシング技術で解析し、眼表面上皮における恒常性維持を担保する核酸を解析する。同時に、これまで申請者が解析してきた涙腺発生における高発現遺伝子の、眼表面上皮細胞における機能を解析し、涙腺発生に重要な遺伝子群の絞り込みを行い、涙腺再生を目指した知見を明らかとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの社会状況により、物品納入の遅れがあったため。
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