研究実績の概要 |
トプコン社と共同し,広角SS-OCTプロトタイプを作成した.装置ヘッドにスウィングおよびチルト機能を搭載し,上下左右にヘッドを振ることにより,鼻耳側のみならず上下側の周辺部まで撮影可能となった.また広角アタッチメントレンズを採用することによりワンショットで21mm(約70°)の撮影が可能となった. 本装置を用いて,成人ボランティア30例30眼の測定を行った.平均年齢は35.9 ± 8.4歳であった.3領域(黄斑,鼻側,耳側)で測定し,得られた画像に対してオートセグメンテーション機能による解析を行い,各領域における平均脈絡膜厚を算出した.得られた結果を3領域で比較し,眼軸長・屈折との相関も検討した.屈折はー4.4 ± 3.3 D,眼軸長は25.7 ± 1.3 mmであった.脈絡膜厚は後極部が268.3 ±87.8 μm,鼻側部が192.9 ±47.6 μm,耳側部129.1 ±32.9 μmであり,部位間の有意差を認めた(P < 0.0001). 眼軸長と等価球面度数との相関を調べたところ,黄斑部では有意な相関が認められた(脈絡膜vs眼軸長; R = -0.598, P < 0.001)(脈絡膜vs等価球面度数; R = 0.491, P = 0.006).耳側部においても同様に有意な相関が認められた(脈絡膜vs眼軸長; R = -0.606, P < 0.001)(脈絡膜vs等価球面度数; R = 0.497, P = 0.006).しかし,鼻側部では有意な相関は認められなかった. 結論として,脈絡膜厚は黄斑部 > 鼻側部 > 耳側部の順に分厚いことが判明し,黄斑部・耳側部の脈絡膜厚は眼軸長・等価球面度数と相関することも明らかとなった.しかし,鼻側部には相関関係が見られなかった.以上から,非対象な脈絡膜厚分布が非対称な眼球発育をもたらしている可能性が示唆された.
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