トプコン社と共同開発した広角SS-OCTプロトタイプを用いて,学童90例180眼(平均年齢9.8 ± 2.5歳 (6~15歳))の測定を行った.撮影画角は50°,解像度は1024 A-lineに設定した.得られた画像に対して,黄斑部(視軸を0°として-6~+6°),耳側部(-45~-33°),鼻側部(+33~+45°)の各部位で自動セグメンテーション機能による解析を行い,平均脈絡膜厚(ChT)を算出した.得られた値を測定部位間で比較し,また等価球面度数(SE)および眼軸長(AL)との相関も検討した. SEは-1.1 ± 1.7 D,ALは23.8 ± 1.2 mm,ChTは後極部で258.2 ± 60.0 マイクロメーター,鼻側部では196.4 ± 37.6 マイクロメーター,耳側部では163.2 ± 39.9 マイクロメーターであった.全ての測定部位間でChTの有意差が認められ,耳側部<鼻側部<後極部という結果であった(p < 0.001).また,ChTは黄斑部と耳側部においてSE,ALと有意な相関を示したが,鼻側部では関連が見られなかった. 結論として,成人の結果と同様に学童の脈絡膜厚は黄斑部 > 鼻側部 > 耳側部の順に分厚いことが判明し,黄斑部・耳側部の脈絡膜厚は眼軸長・等価球面度数と相関することも明らかとなった.しかし,鼻側部には相関関係が見られなかった.以上から,非対象な脈絡膜厚分布が非対称な眼球発育をもたらしている可能性が示唆された.
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