研究課題/領域番号 |
20K09786
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
柏木 賢治 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30194723)
|
研究分担者 |
坂本 雅子 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (70758846)
北村 一義 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (80535617)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 緑内障 / ビッグデータ / 人工知能 / precision medicine |
研究実績の概要 |
後天性失明原因の第一位である緑内障に対する適切な診断と治療の提供は患者のみならず社会的にも重要な課題である。緑内障は不可逆的な視機能障害を来す疾患でありながら、自覚症状が高度に進行するまで少ないため、発見時には高度障害を来している症例が少なくない。また治療に対する応答性には個人差も大きい。このような状況の打開のためには、患者負担が少なく早期に診断が可能なシステムの構築と個別患者に合った対応法の開発が必須である。本研究においてはその目的のために、緑内障患者に対する大量データ(いわゆるビッグデータ)とこれらを基に人工知能(AI)を用いて検討した緑内障スクリーニングシステムの構築、個別化の進行リスクの解析を行うとともに、遺伝子情報も併せたより精度の高い個別化医療の体制作りを進めている。すでに診療録から自動的に眼科関連の診療データを収集する(ビッグデータ収集システム)の構築は完了し、現在数千人の山梨県内の緑内障患者の定時的な診療録の収集体制の構築が完成している。現在これらのデータをデータサイエンティストの協力をえてAIを用いて検討を進めている。これらの成果として、眼底写真を用いた緑内障患者の簡便かつ精度の高いスクリーニングシステムが完成し、さらに緑内障の重症度についてのAIシステムも完成した。現在これらの実効性の評価を健診センターや医療機関において開始している。また一部の緑内障患者からは同意を得た後に採決を行い緑内障関連遺伝子情報の解析研究を進めている。これらビッグデータ、AIならびに遺伝子解析により高度な緑内障治療(precision medicine)に向けての取り組みを進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
既にビッグデータの収集体制は完了し、定時的なデータ収集が始まっている。また収集された人工知能による解析研究も一定の成果を挙げている。遺伝子情報についても収集ならびに検討が進められている。 以上から、本研究は当初の計画以上に進展していると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、より大量なデータを集めるとともに、同一患者の経時的データの収集を行う。さらにこれら患者における緑内障遺伝子情報を組み合わせることでprecision medicineに向けての研究レベルを向上させる。 これらの取り組みによりより一層羅回レベルの緑内障診療の支援に向けての研究を進めるとともに、個別の患者に合わせた医療の提供をより高い精度で提供するための研究を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度はデータ収集システムの構築維持に加えて作業の自動化のための費用を計上していたが、新型コロナ感染症の影響もあり、予定していた作業に遅れが生じた。このためデータ収集や解析は手動による作業で対応した。次年度は昨年度に計画していた事業を行う予定であり、昨年度に計上していた予算は次年度に使用する計画である。
|