研究課題/領域番号 |
20K09800
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
日下 俊次 近畿大学, 医学部, 教授 (60260387)
|
研究分担者 |
國吉 一樹 近畿大学, 医学部, 教授 (30234470)
杉岡 孝二 近畿大学, 大学病院, 教授 (50399119)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 未熟児網膜症 / 線維化 / サイトカイン / 血管内皮増殖因子 |
研究実績の概要 |
未熟児網膜症は小児の失明原因第一を占める重要な疾患である。2019年11月に本疾患に対する抗血管内皮増殖因子治療薬としてranibizumab(ルセンティス)が承認され、さらに2022年9月にaflibercept(アイリーア)が承認された。アイリーアはルセンティスより抗血管内皮増殖因子効果が強く、持続期間も長いと考えられ、より重症例での予後改善が期待されている。しかし抗血管内皮増殖因子治療後には増殖膜の線維化が発生するが、今後はこれに伴う牽引性網膜剥離の発生あるいは増悪が懸念される。今回の研究では未熟児網膜症における増殖膜の線維化、およびそれに伴う病態悪化に着目し、それに関与する種々のサイトカインや抗血管内皮増殖因子治療による影響を明らかにしたいと考えている。具体的には硝子体手術が必要となった未熟児網膜症症例のご両親に研究計画の説明、検体採取のリスク等を説明した上で、書面による同意を得て、硝子体液を採取した。硝子体液は急速冷凍し、deep freezerで保存している。2023年度は9例11眼から硝子体液を採取することができた。これまでに採取できた検体と併せ、2024年度にまとめて硝子体液中の種々のサイトカイン量測定をELISAキットにて行う予定である
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例からのサンプル採取は14眼あり、想定よりやや多いペースとなっている。これは東京で手術を行える施設が一時無くなったため、当院に症例が集中したためと考えている。しかし、未熟児網膜症モデルマウスによる検討はいまだ準備段階で開始できていない。理由は前年度と同様に大学院生の出産と育児休暇期間延長、もう一名の大学院生が関連病院に出向となったためです。令和6年度中に一名は復帰予定なので、実験開始に向けて準備を進めて行きたい。
|
今後の研究の推進方策 |
症例からのサンプル採取は従来通り進め、最終年度にまとめて解析する予定である。未熟児網膜症モデルマウスを用いた抗VEGF治療に伴うサイトカイン変動については院生が復帰次第進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
未熟児網膜症モデルマウスを用いた実験関連が予定通り進行していないため、関連物品の購入が遅れている。令和6年度から順次使用していく予定である。
|