加齢黄斑変性(AMD)は加齢に伴い発症する黄斑部の萎縮または変性で、RPEの老化・機能低下より視細胞が障害される。これまでストレス因子(喫煙・紫外線・食生活等)・遺伝的要因等の進行リスクとの関連性に着目した研究が進められているが、視細胞サブタイプの生理代謝特性と発症リスクの関連性については仮説の域を出ていない。我々は、ヒト黄斑の特徴である錐体優位な網膜構造を再現するため、Visual streak部分が錐体優位となるマウスモデルと、全視細胞が錐体視細胞様に変換される遺伝子改変マウスを作製した。錐体・杆体オプシンの抗体染色より上記マウスモデルのRPEが視細胞外節が貪食されている事を確認した後に、網膜色素上皮層の形態学的・免疫組織学的解析を行い下記のような結果を得た。 まず、全ての視細胞が錐体視細胞様に変換される遺伝子改変マウスにおいて、野生型マウスに比して2ヶ月齢程度でRPEの萎縮が認めれていたが、15ヶ月齢において網膜辺縁部より視神経乳頭周りでより重度な萎縮を認め、RPE65発現量の低下を認めた。この結果は錐体視細胞の光応答が活発な網膜領域のRPEに対してストレスが高い可能性が示唆された。次に、本結果が錐体と杆体の違いに依るものか検証するため、錐体オプシンを杆体視細胞に発現させたノックインマウスでPRE形態の経時観察を進めた。この結果k4週齢の組織染色にて、PREの縮退を認めた事より、光受容蛋白質(オプシン)の特性もPREのストレスに関与する事が示唆された。
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