研究課題/領域番号 |
20K09804
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北口 善之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30772842)
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研究分担者 |
川崎 良 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (70301067)
長原 一 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 教授 (80362648)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スマートフォンアプリ / 深層学習 / 甲状腺眼症 / 画像収集 |
研究実績の概要 |
深層学習を用いた甲状腺眼症の判定については特許の問題があり公表を差し控えているが、同様の手法を用いて斜視および先天性緑内障の分類を行い、それぞれの疾患について9割程度の正解率で分類を行えることを示した。これらについては第2回日本眼科AI学会総会、第126回日本眼科学会総会で発表を行った。 2021年11月21日(東京) 第2回日本眼科AI学会「深層学習を用いた外斜視および内斜視の識別」 2022年4月14日(大阪) 第126回日本眼科学会総会「深層学習を用いた眼位写真による小児緑内障の識別」 本研究の重要な点は、眼周囲の写真のみから精度の高い判定を行うことができる点である。特殊な装置を必要としないため、スマートフォンなどを媒体とすれば多くの人が手軽に利益を享受できる。スクリーニングに使用するのか、非専門医が治療方針の参考にするために使用するのか、用途および位置づけの確立が急務であるが、今後の持続可能な社会におけるインフラとして重要な役割を果たせる可能性がある。
画像収集のためのiPhoneアプリケーションの開発も順調に進んでおり、2022年5月あるいは6月より前向き画像収集を開始する見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前半の2年間は後ろ向き画像収集により深層学習アルゴリズムの開発および妥当性の検証を行い、3年目で前向き画像収集を行う計画であった。画像収集開始が1ヶ月程度遅れているが、概ね予定通りの進捗と考える。 また、画像収集のために開発したiPhoneアプリケーションの利便性が評価され、日本眼科AI学会、日本眼腫瘍学会主導のプロジェクトにおける多施設研究で用いられることとなった。本アプリが多施設研究におけるアンメットニーズに応えることができた点は、当初予期しなかった成果である。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、5月あるいは6月より前向きな画像収集を開始する予定である。1年間で600例を目標に収集を行う。 また、角膜検出、瞳孔反射検出といった特徴量抽出については、共同研究先の大阪大学データビリティーセンターで研究を行っている。これらの成果を総合しすれば画像判定の精度が向上する見込みである。
画像判定アプリケーションの社会実装については、医療機器とみなされるのか、あるいはそうでなかった場合にどのような位置付けにするのかといった法律や倫理上の問題点があり、日本眼科AI学会と相談を行った上で実装を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前向き画像収集の開始が少し遅れており、撮影装置(iPhone)の購入、および共同研究施設への費用譲渡を見合わせていることが、主な理由である。これらを行うことにより予定通りの額となる。
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