研究課題
研究成果の概要加齢黄斑変性は先進国における成人の失明原因第一位を占める。治療の主流はVEGF阻害薬である。発症早期の病態を標的とする診断・治療法は現存しない。マウスの実験系に準拠してヒトマクロファージ(hMps)とiPS由来ヒトRPE(iPS-hRPE)細胞の共培養系でもIL-6、MCP-1、VEGFの産生は高進し、同時に、CD63陽性細胞外小胞体(EV)産生が増加することを確認した。EVを透過させない0.03μmの膜を装着した系では、本産生増強は消失し、細胞間相互作用にEVが関与することが検証された。共培養ではヒトRPE細胞から産生されるEV中に含有されるmiR-494-3pの分泌増加が著明であった。本miRはPTEN/PI3K 信号伝達系を介してRPE細胞のATP 産生, ミトコンドリア膜電位、酸素呼吸、生合成などミトコンドリア機能の高進に関与した。変性ヒトRPE ではmiR-494‐3p/PTEN/PI3K 信号伝達系を介してのミトコンドリア機能不全が惹起されることが判明した。研究成果の学術的意義や社会的意義本研究は、RPEとMps間の細胞間ネットワークの破綻によるRPE細胞のミトコンドリア機能変性をAMDの早期病態の実態とする新概念である。病態増悪経路にEVsが関与することを明らかにし、miR494-3pを機能分子として同定したことは世界初である。本研究で確立した擬似モデル系を創薬探索系として活用することで、早期診断技術と併せてコンパニオン診断薬への道も拓かれる可能性も秘める。RPE細胞のミトコンドリア機能不全を修復する新規作用機序を持つAMD治療に繋げられる可能性がある。安価安全な医療・早期診断技術開発の基盤を構築するものである。
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Invest Ophthalmol Vis Sci
巻: - ページ: 36955
10.1167/iovs.0.0.36955