研究実績の概要 |
我々は既に、ICOSが縫合糸による角膜血管リンパ管新生を抑制し、二次リンパ器官においてCD4+CD25+制御性T細胞を増加させることを報告した。最終年度は、同モデルを用い角膜内サイトカインを網羅的に解析し、関連因子の発現細胞を解析した。 方法は、ICOSノックアウト(KO)と野生型(W/T)のBALB/cマウスの角膜に11-0ナイロン糸を縫合し、1,3,7,14日に角膜を輪部含め採取しマルチプレックスサイトカイン測定装置LunarisTMにてInterleukin(IL1β, IL2, IL4, IL5, IL6, IL10, IL12p70, IL13, IL17A, IFNγ, GMCSF, TNFα, CCL2, IGF1, VEGFA, PDGFBBのタンパク定量解析を行った。また角膜縫合後7,14日の眼球を摘出し、VEGFR1, CCR2, I-Ab, F4/80, CD11b, CD11cを免疫組織化学(共焦点顕微鏡)で解析した。 その結果、ICOS KOではW/Tに比して縫合後3日または7日に、VEGFA,IL1β,IL2,IL6,IL10,IL17A,TNFα,IGF1,PDGFが有意に高かった(p<0.00556)。また、ICOS KOではW/Tに比して縫合後7日または14日に、CCR2+F4/80+ 細胞、VEGFR1+F4/80+細胞、I-Ad+及びCD11b+細胞が有意に多かった(p<0.05)。 結論として、抗原非特異的炎症時の角膜血管リンパ管新生において、ICOSは角膜内VEGFA, IL1β, IL2, IL6, IL10, IL17A, TNFα, IGF1, PDGF発現を抑制し、活性化F4/80+マクロファージ表面のVEGFR1とCCR2の発現を抑制することを明らかにした。
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