研究成果の概要 |
新規免疫チェックポイントであるTIM4とICOS/ICOSLの機能について下記のように明らかにした。 TIM4は、正常角膜内の骨髄由来細胞には発現していないが、角膜移植後の浸潤細胞に発現することがわ かった。さらに、TIM4は角膜移植後のエフェクターCD4T細胞の浸潤を抑制し、拒絶反応に抑制的な役割をもつ。 ICOSは、抗原非特異的炎症時の角膜血管リンパ管新生において角膜内VEGFA, IL1β, IL2, IL6, IL10, IL17A, TNFα, IGF1, PDGF発現を抑制し、活性化F4/80+マクロファージ表面のVEGFR1とCCR2の発現を抑制することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
免疫チェックポイントは本来、眼、脳、生殖器官といった高度な生命活動に必須の臓器に多く発現し、その臓器内の炎症を抑制して恒常性 を維持する。ゆえに、この3つの臓器は免疫特権臓器と呼ばれる。 本研究で示したTIM4, ICOS/ICOSLは, 我々の研究により初めて眼内炎症制御機能が明らかになった免疫チェックポイントである。これらの分子は、眼内細胞に発現して眼内炎症を抑制する役割を もつ。中でもICOS/ICOSLは、抗原特異的炎症のみならず、抗原非特異的炎症時の血管リンパ管新生も抑制する。移植医療や自己免疫疾患のほか、創傷や異物などの反応性炎症に対する新しい治療にも応用が期待できる分子である。
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