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2020 年度 実施状況報告書

レゴラフェニブのヒト結膜線維芽細胞の増殖・分化におよぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 20K09816
研究機関大阪医科大学

研究代表者

小嶌 祥太  大阪医科大学, 医学部, 教授 (10388259)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード緑内障 / 濾過手術 / 眼圧 / 瘢痕 / 線維芽細胞 / レゴラフェニブ / ヒト結膜線維芽細胞
研究実績の概要

代表的な緑内障手術である線維柱帯切除術はマイトマイシンC(MMC)などの線維芽細胞増殖抑制薬の併用によって濾過胞と眼圧下降が維持されている。しかし濾過胞菲薄化から濾過胞感染など重篤な術後副作用が問題となっている。われわれはすでにイヌ緑内障手術モデル眼においてマルチキナーゼ阻害薬であるレゴラフェニブ術後点眼によりMMC併用と同等の濾過胞維持効果と眼圧下降が得られ、より虚血や菲薄化の少ない濾過胞が形成されることを示した(Nemoto E, Kojima S, Sugiyama T, et al. Int J Mol Sci. 2019 Dec 20;21(1):63. doi: 10.3390/ijms21010063. )。
今回はヒト結膜線維芽細胞(HconFs)を用いて検討をすることとした。【方法】(1) レゴラフェニブの至適濃度の検討:細胞生存アッセイにおいてCell Counting Kit-8を使用し450nmの吸光度を測定した。 (2) レゴラフェニブによるHConFsの増殖・分化への影響の検討: 蛍光免疫染色:α-smooth muscle actin(αSMA)、proliferating cell nuclear antigen(PCNA)、vimentinの染色を行いそれらをフローサイトメトリーにて定量解析した。【結果】レゴラフェニブによりHConFsの増殖を効果的に抑制するのは2mM付近であり、これはTGF-β2惹起の細胞増殖においても同様であった。そしてαSMA陽性細胞、PCNA陽性細胞、vimentin陽性細胞はTGF-β2の作用にて増加するが、それらは2mMのレゴラフェニブ投与により有意に抑制された。これらの結果からもレゴラフェニブは線維芽細胞の増殖と筋線維芽細胞への形質転換を抑制し、術後濾過胞の瘢痕化抑制に効果がある可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は研究者の勤務先変更による実験環境変化による実験の滞りや、新型コロナウィルス蔓延による実験室への出入りが困難になったこと、実験機材の搬入が困難であったことなど実験遂行における予定外の遅延要因が多数存在したものの、予め早めに実験を開始したため、なんとかある程度の進展を得ることができた。ただし、実験が困難になっている状況に大きな変化はないため今後の実験遂行における困難については引き続き継続している。

今後の研究の推進方策

現在までの実験結果の再検討を行うとともに、不足したデータなどがあればさらに同様の実験を追加していく予定である。そのうえでHconFsをconfluentにしてからscratch assayを行って細胞の遊走反応を確認するととともにレゴラフェニブを作用させてその遊走反応における影響を調べる。遊走反応については一部結果を得ているが、レゴラフェニブ2mM投与により遊走反応を抑制する可能性が示唆されこのことからも結膜瘢痕形成抑制作用の機序が推測されている。さらにこれらの細胞におけるαSMAやPCNAの発現を確認し細胞の遊走能に対するレゴラフェニブ投与の効果を検討する予定である。レゴラフェニブは細胞内伝達経路に作用して細胞増殖を抑制する機序が考えられているため、mitogen-activating protein (MAP) キナーゼ経路などへの影響を調べるためERKやSmadなどへのリン酸化への影響などもimmunoblotやPCR法を用いて調べていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度は実験の結果自体はある程度でているものの、実験自体は研究者の異動や新型コロナ蔓延の影響で十分行えていない部分があるため次年度への使用額が生じた。今年度の実験においてさらに必要な追加実験があれば、それにともなうヒト結膜線維芽細胞の購入やシャーレなど細胞培養に必要な機材、薬剤などの購入に使用する。さらには、α-smooth muscle actin(SMA)やproliferating cell nuclear antigen(PCNA)の発現を確認し細胞の遊走能に対するレゴラフェニブ投与の効果を検討するためにこれらの抗体なども購入する必要がある。レゴラフェニブは細胞内伝達経路に作用して細胞増殖を抑制する機序が考えられているため、mitogen-activating protein (MAP) キナーゼ経路などへの影響を調べるためERKやSmadなどへのリン酸化への影響などもimmunoblotやPCR法を用いて調べていく予定であるためこれらの機材、薬剤、抗体なども購入する必要がある。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] レゴラフェニブの培養ヒト結膜線維芽細胞の増殖と分化に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      根元栄美佳、小嶌祥太、杉山 哲也、金徳男、高井真司、堀江妙子、 前田 美智子、河本 良輔、植木麻理、奥英弘、池田恒彦
    • 学会等名
      第124回 日本眼科学会総会

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公開日: 2021-12-27  

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